『追憶の烏』ネタバレ妄想

羽 本にまつわる話

第二弾『追憶の烏』発売時点での私の推測や妄想をまとめました。

※あくまで、個人の感想であり妄想ですのでまったく根拠はありません。
ネタバレを多分に、というか、ネタバレしかないので、『追憶の烏』読了後にごらんください。

しかし、『追憶の烏』があまりにショッキングな内容だったので、冷静に考えられるまで時間がかかりました…。
『追憶の烏』感想はこちら

全部ハズレたネタバレ『楽園の烏』妄想

前回の『楽園の烏』に関する考察は全てがハズレでした。いや、さすがは阿部智里先生。素人の考察などでは想像もつかない展開で私達に衝撃を与えてくれました。

若い金鳥は長束の子ではなく、あせびが先代捺美彦との間に作った子

おい、捺美彦何やってんだ…。この人は若い頃、初恋の相手(浮雲)と結ばれず、おっかない年上(大紫の御前)に○○○されて傷つき、そこへ初恋の相手とそっくりの娘がいたらそりゃ手をだすよね。

でもたぶん、あせびはあんたのこと「奈月彦の劣化代替品」「奈月彦の娘を手に入れるための道具」くらいにしか思っていないよ…。

大紫の御前という濃いキャラに隠れた捺美彦と、幽閉状態のあせびはまったくのノーマークでした。

これを受けて八咫烏シリーズは「物語に出てこない人物がどう動いているか」を考えないといけないなと感じました。まるで『空棺の烏』ででてきた夜間の用兵術みたいですね。

懲りずに『追憶の烏』妄想考察

さて、いちおう『追憶』で『楽園』に至った原因が示されましたが、まだ謎は残ります。

後に判明したもの

  • 凪彦のお妃選びはあるのか…『望月の烏』で判明
  • 浜木綿と紫苑の宮の行方…紫苑については『望月の烏』で判明
  • 奈月彦に瓜二つの真穂の薄の娘・葵(澄生)の存在…『望月の烏』で判明

不明なもの

  • 奈月彦の遺言の意味…不明
  • 安原はじめの動向と、朔王の生死…不明
  • 山神の現状と山内の崩壊…不明
  • 招陽宮の火事の意味…不明
  • 真の金鳥の謎…不明

遺言の意味

『追憶の烏』で奈月彦は遺言を残しています「皇后の思う通りに」と。これは何を指すのでしょう。浜木綿の行動原理は奈月彦と娘の姫宮であるから、必ずしも安寧を選ばないかもしれないのに。

私はここで「皇后」と書いたのにひっかかるんです。ここで『玉依姫』を読み返すと、志保は普通の人間だったのに「玉依姫」の自覚をもつことで能力を与えられています。

同じことが浜木綿にも言えたのではないかと。婚姻、もしくは伴侶の死などの要因で「真の金鳥」の能力の一部が「皇后」である浜木綿に譲渡されるシステムになっているとしたら…。

 『玉依姫』では神の妻の条件についてこう書かれています。

神を愛し、愛されていることを知っていれば良い

あるいは、こうも伝えられています。

金鳥とは、すべての八咫烏の父であり、母である

文字通り、父と母は、帝と皇后を指しているのかも…。

なにせ、昔の記録は全て消去されているので、真の金鳥にしても全て正しく伝えられたとは限りませんし。

葵(澄生)と紫苑の宮

『追憶』後、雪哉の前に現れた真穂の薄の娘・葵(澄生)は亡き奈月彦に瓜二つ。これは何を意味するのか。八咫烏シリーズは対になる物語なので、実は「双子」なのは茜と葵ではなく、実は紫苑と葵が双子なのではないか。

成長差がわかってしまう幼児期は隠しておいたのか、あるいは本当に病弱だったため、先の大紫の御前の魔手を逃れるための措置だったかもしれません。

八咫烏シリーズは対の物語ですから、重要な人物や事柄にはもう一つの「意味」が存在することが多いですし、山神もまた「荒魂」「和魂」で一対です。

八咫烏シリーズでは「一対の片割れ」は隠されていることが多いので、「対をなすもう一つのもの」が出てくることで謎は解けるのだと思います。

なお、澄生については、他にもいろいろと想像させられます。幼少期、病を治すためにかかった医者とは、外界の医者だったかもしれない。彼女のセリフ

「たくさんのものを見ました。ほんとうに、たくさんのものを」

は、外界のことを指しているのではないでしょうか?

このセリフについては、『望月の烏』で判明しました。

真穂の薄の存在

『追憶』の展開を鑑みると、「出てこない人物がどう動いているか」が重要なのですが、『追憶』で真穂の薄は澄尾と夫婦になり、次の子を妊娠中で直接でてきません。

『玉依姫』、『弥栄』を読み返すと、彼女は八咫烏で唯一、神の妻である玉依姫との接点がある人物なんです。山神の存続が山内にとって最重要課題であるなら、今後彼女は山神との交渉人として登場するかもしれません。

ふたたびの登殿はあるのか

『追憶』が『楽園』の12年前だとすると、当時3歳くらいだった凪彦は『楽園』で15~6歳なので、これからお妃選びである「登殿」(金鳥の場合も「登殿」というのかは謎)が行われる可能性があります。

あせびは自分が奈月彦と添い遂げられなかった夢を、息子と紫苑の宮(か、彼女に瓜二つの葵)を添わせることで実現させようとしていたら…。凪彦は花祭りで紫苑の宮を見ている可能性もありますし、母親から半ば洗脳のごとく吹き込まれたら、幼い頃から紫苑の宮に執着してしまうかもしれません。

彼女は自分が嫌われているなんて、これっぽっちも思っていないので、同じく真穂の薄の娘・茜にも「登殿」を促すかもしれません。子供同士もお友達になれたら素敵ですわね!と「本気で」思っていそうです。

私はその最後の宴で(奈月彦がしたように)紫苑の宮が現れて「あなたのことは大嫌いです。」って凪彦に言い放って欲しいですけどね。

こちらは『望月の烏』で判明

招陽宮の火事

浜木綿と紫苑の宮が行方不明の前、招陽宮から火の手があがります。雪哉は自ら燃え盛る招陽宮へ行き、少しの間捜索を行っています。

その後、彼は「消火の必要はない」と、思い出のつまった招陽宮を燃やしてしまいます。

一見、雪哉らしい合理的な考えですが、「燃やす」は「隠す」も可能です。『烏は主を選ばない』や『黄金の烏』を読むと、招陽宮に何かしらの抜け道があった可能性がありますし、それを隠したかったのかもしれません。

あるいは、雪哉が浜木綿と紫苑の宮を殺し、その死体を焼くためにそのままにしたのでは…?
通常の火事では人間(八咫烏)二体を骨まで焼き尽くすのは難しいかもしれませんが、山内には「鬼火」など、不思議なエネルギーも存在するので、それらを応用したとか。

なんにせよ、八咫烏シリーズの「行動」や「行為」は、視点を変えることでまったく違う意味になるので、人物の心情よりも、行動に注目していったほうがいいでしょうね。

『楽園の烏』の頼斗だって結局、心情よりも行動を選びましたから。

浜木綿の行方

あの火事の後、紫苑の宮が幽霊だとしたら、浜木綿はどこにいるのか。その後の捜索で女官たちと山内衆「しか」見つかっていません。あとは「馬(大鴉)」です。

馬は第三の足を契約者によって縛られれば、それが解かれるまで鳥形のままです。

まさか皇后が馬になるなんて、常識では考えられませんが、浜木綿は烏の姿になることに抵抗はないし、飛ぶこともできます。

浜木綿は紫苑の宮に足を縛らせ、今も山内のどこかで娘の帰りを待っているのかも…。

山神の名前

山内崩壊を防ぐには、金鳥が元の山神であった頃の名前が必要なのですが、それは猿の策略で永遠に失われてしまいました。しかし、仮に『玉依姫』に書かれていた例の手引書に、何かしらのヒントがあったとしたら…。

しかし、奈月彦はそれを使えなかったとしたら。それはもしや「女神」の名前だったからでは?

もともと金鳥は山神の眷属(男)と、元の山神(女)の子孫なわけですから、オリジナルは「カミ」ではなく「ヒメカミ」の可能性もありえる。

奈月彦が紫苑を後継者に選んだのでは、単に施政者としての能力だけではなく、元の女神の系統を復活させようとしたのでは…?

以前参加した『追憶の烏』ネタバレトークイベントで、阿部、松崎両先生が、
「これまで男尊女卑だった山内に、あせびが大紫の御前として君臨することで、女性の権利に対してパラダイムシフトが起こり始めた。」

といった意味のことを発言されていたのです。それは、男から女へ、金鳥の系統の変化がこれから起こるということなのでは…。と私は考えています。

金鳥・金鳥代の名前ルール

歴代の金鳥の命名については、一定のルールがあります。
奈月彦(なづきひこ)、捺美彦(なつみひこ)、長津彦(なつひこ)など、「な」と「ひこ」がセットになっています。

「ヒコ」は古代、男神を表す言葉だそうです。
そして「な」は、汝(なれ)、あなたなど、自分から見た相手を指す言葉です。

初代金鳥が女神であるなら、男神はあくまでパートナーであり、王配(女王の配偶者)ではなかったのか。本来、女性が受け継ぐべき力と血統を、何かしらの理由で男性側が奪ってしまったのか…?
(だとしたら多分、四家がなにかやったんでしょうね)

もし、紫苑の宮が金鳥になるとしたら、彼女の名前は「わ(あ)」(わたし)と「ヒメ」、あるいは太陽を表す言葉のセットとなり、それが原始の神の名につながるのかもしれません。

もう一つ、気になるのが「凪彦(なぎひこ)」の名前です。彼だけ漢字二文字なんですよ。他の金鳥、金鳥代は三文字なのに。

また、音で言うなら「なぎひこ」と、奈月彦の祖父「なつひこ(長津彦)」も四文字です。凪彦は捺美彦が金鳥代を退いた後にできた子ですので、ある時期まで正式な世継ぎではなかったのです。

もし、「音読み四文字=外部からの後継者」というルールが適用されるなら、あるいは奈月彦の祖父「なつひこ(長津彦)」も正式な世継ぎではなかったのかもしれない。

そこには何らかの事情が働いているのかも…。

名前で深読みすると、いろいろと考えられますね。

山神の謎

山神はなぜ呼んでも応えないのか。

もしかして山ではなく湖に移っている、志保が新たな神を宿している、など、いろいろ考えられますが、どちらにしても祭祀のシステムを早急に整える必要がありますね

小梅の今後の動向

小梅がどう動くかも気になります。なにせ魑魅魍魎が跋扈する東本家にいるのですから、何かしら使役される可能性があります。

あるいは、早蕨の行動を隠すブラフなのかも。

『黄金の烏』では、小梅は一時期、桜花宮でも働いていたので、そのスキルを生かして桜花宮に現れるのかもしれませんし、あるいは、小梅の後ろに何か大きな悪意が働いているのかもしれません。

雪斎の悪行の裏にあるもの

それと、雪哉(雪斎)のダースベイダーっぷりが強烈すぎるところが気になります。先の大ボス、大紫の御前のときもそうですが、雪哉と大紫の御前はやり方が似ていますし、その存在感の強さも同じ。

だとしたら、水面下でなにか別の計画が進んでいるのかもしれません。

治真について

『追憶』のラスト描写が雪哉ではなく、治真視点だったのも気になるところです。実は私は、治真が奈月彦暗殺に関わっていたと思っています。

治真の忠誠は奈月彦ではなく、あくまで雪哉に向けられていましたから。

治真は『空棺の烏』 を読む限りでは奈月彦の奇跡を見ていませんし(寝てたから)。

南家や東家から「雪哉をいずれ博陸侯にしてやる」と言われたら、私が治真なら協力しますよ。

八咫烏シリーズ感想

未読の皆さまには、まず第一部からお読みいただければ幸いです。『黄金の烏』までがアニメ化されています。各巻の概要と感想をまとめるとこんな感じです。

第一部

第二部

外伝

幕間(外界視点からの山内)

松崎夏未さんによるコミカライズ

烏に単は似合わない

烏は主を選ばない

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ネタバレ込みのこれまでの考察

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