和風ファンタジー『烏に単は似合わない』をオーディオブック・Audibleで聴いてみました。原田マハさんの『板上に咲く』に続き、「聞く読書」は新しい発見があって面白いです。
『烏に単は似合わない』は人の姿をとる八咫烏の住まう山内で、日嗣の御子のお后選びの様子が描かれています。
また、この物語は2024年放送のアニメ『烏は主を選ばない』の中に組み入れられているエピソードです。
「単」と「主」は同じ時間軸を女性パート、男性パートで表しているので一対の物語としてもなりたっています。
疋田涼子さん朗読 『烏に単は似合わない』の声の演じ分け
声優・疋田涼子さんの朗読で聞く『烏に単は似合わない』は、ナレーション部分と登場人物の声の演じ分けが素晴らしかったです。
たとえば、あせびは可愛らしく、浜木綿は凛としてクール、真赭の薄は艶やかで高貴、白珠は少し幼さと気品が感じられます。
そこに、各場面の感情が乗ることで、さらに物語世界に臨場感が加わります。侍女や羽母(八咫烏世界の乳母)に至るまでそれぞれの声が作られているのがすごい。
また、姫たちの衣装、花や滝といった描写が丁寧なナレーションで語られることで、『烏に単は似合わない』の文章が改めてすごいと感じました。
ここからネタバレ感想
特に可愛く、恐ろしかったのがあせびの声。
特に冒頭の嘉助への声にはゾッとしました。可愛らしさの中に艶っぽさがあって、そりゃこんな声で笑顔で言われたら落ちますよ…。
そして、ラストの謎解きで糾弾された時も、「自分は悪くないの…」。と、可愛らしく、甘えるような声で弁明します。これも若宮以外だったらきっと信じてしまったでしょうね。