八咫烏シリーズ幕間『山を下りて』阿部智里

烏 ミステリ・ホラー
烏の群れ

異世界「山内」を舞台とするファンタジー、八咫烏シリーズ。

その中で「幕間」と題されるのは、人間側の視点からみた山内をホラー仕立てで描かれる物語です。

『山を下りて』は、八咫烏シリーズファンBOOKにて掲載。

編集:オール讀物編集部
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『山を下りて』あらすじ

主婦の美紀は姑の看病のため、山あいにある姑宅に泊まった。家族の朝食をつくるため、翌朝早くに姑の家を出る。

車を走らせていると山道を歩く二人の少年を見かけ、心配になり彼らを車に乗せる。

警察への連絡のためにコンビニに立ち寄ると、ほどなくして少年たちの保護者という男がやってくる。

彼は少年たちの住む児童養護施設の職員だった。事情を説明後、そのまま少年たちは彼に引き渡されることに。

しかしなぜ、彼は美紀が少年たちを車に載せていたのがわかったのだろう…?

日常から見た異界の違和感

前半は、美紀が家事の失敗に落ち込んだり、姑へ不満を感じたりと、どこにでもある家族の話です。それがし、少年たちと出会ったことで少しずつ、違和感を覚える展開になっていきます。

『山を下りる』では、私たちの日常から見た「異界」への違和感が感じられました。


それは、微妙な差異なんですが、やはり美紀のようにひっかかりを感じてしまう人もいる。『烏の山』のように恐怖を感じる人もいる。

外界の人々のこうした違和感は、雪哉(雪斎)の「楽園」プロジェクトに、どのような影を落としていくのでしょうか…。

ここからネタバレ

  • 谷間の子どもたちは山神への祭祀のため、人間として外界で生活をしている(楽園の烏)
  • しかし、その生活に疑問を抱く子たちがいる
  • 子どもたち(少なくとも家出少年2人)は、八咫烏の正体と特性(夜に転身できないこと)を知っている

子どもたちは、自分たちの保護者が「人ならぬもの」だと最初から知っていたのか。

それとも、家出をした少年たちだけなのか。「東京の親戚」とは少年たちの嘘なのか、それとも、「誰か」が教えたのか。

そして、美紀が渡した携帯電話の番号が使われる日がくるのか。今後の展開が楽しみな幕間でした。

八咫烏シリーズ感想

未読の皆さまには、まず第一部からお読みいただければ幸いです。『黄金の烏』までがアニメ化されています。各巻の概要と感想をまとめるとこんな感じです。

第一部

第二部

外伝

幕間(外界視点からの山内)

松崎夏未さんによるコミカライズ

烏に単は似合わない

烏は主を選ばない

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ネタバレ込みのこれまでの考察

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