八咫烏シリーズ幕間『烏の山』。
『弥栄の烏』から、『楽園の烏』の間の出来事をつづった短編。人間世界からみた山内を描いたホラー作品です。
『烏の山』は『八咫烏シリーズファンBOOK』に掲載されています。

『烏の山』あらすじ
あるカップルが旅行中、山で道に迷う。
たどりついた湖のほとりには、たくさんの子供たちがいた。
子供たちは、こちらをじっと見つめてきたかとおもうと、いっせいに「コンニチハー!」を繰り返す。
それも日本語らしからぬイントネーションで。
ふと見ると、空にはたくさんの烏。それも普通の烏よりも大きい。
ほうほうの体でその場を逃げ出した男は、後日、その場所をネット上の地図で確認すると、そこには…
本当の恐ろしさは…
『烏の山』はホラー仕立ての、ちょっとゾッとする物語なのですが、この話の本当の恐ろしさは『楽園の烏』を読み終わったあとにわかるんです。
あー!あれ!山内の世界で雪哉がやったあれが、こちらではこういうふうにつながって…って、怖っ!
ラストの展開も、男が急に見ている映像が変わるところが、本当に怖い。そして、最後に写っていたあの人は…
異世界からみた現世
異世界・山内の物語はまるで知らない国を旅するようなワクワクがあります。でも実際、異世界と現世が交わると、それは異質なものとして恐怖の対象になる。
それは「わからないこと」を恐れる気持ちに似ています。こうした異世界と現世の異質な交わりをホラーとして描くって素晴らしいなあ。
そういえば十二国記の外伝『魔性の子』も異界と現世が交わったことで起こる悲劇をホラーとして描いています。
本当は交わってはいけないものなのでしょうね。
八咫烏シリーズ感想
未読の皆さまには、まず第一部からお読みいただければ幸いです。『黄金の烏』までがアニメ化されています。各巻の概要と感想をまとめるとこんな感じです。
第一部
- 『烏に単衣は似合わない』…ゆるふわ世間知らず美少女のシンデレラストーリー?
- Audible『烏に単衣は似合わない』…そりゃこんな声で笑顔で言われたら落ちますよ…
- 『烏は主を選ばない』…ひねくれ小僧と空気読まない若君のバディ誕生
- 『黄金の烏』…人(八咫烏)食い猿がやってきた…!
- 『空棺の烏』…人材育成、和製ハリー・ポッター(魔法なし)
- 『玉依姫』…なんで私が異世界に?
- 『弥栄の烏』…山神さま、ちょっと落ち着いてください…!
第二部
- 『楽園の烏』…地獄のここが楽園だ。ダース・ベイダー雪斎爆誕
- 『追憶の烏』…私はただ、お慰めしたかっただけなのです…!
- 『烏の緑羽』…バブみイケメン成長ゲー
- 『望月の烏』…私、博陸侯のお手伝いをしたいのです!
- 『亡霊の烏』…紫苑VS博陸侯。試合に勝って勝負に負けた博陸侯
外伝
- 『かりんみず』…美味しいかりんみずはいかがですか?藤波さま
- 『さわべりのきじん』…虫を生のまま食おうとすんじゃねえ
- 『きらをきそう』…山内版・北斎の娘と花魁の世界
- 『烏百花 蛍の章 八咫烏シリーズ外伝1』…雪哉がセミ食ったりとか
- 『烏百花 白百合の章 八咫烏シリーズ外伝2』…きんかんを煮たりしています
幕間(外界視点からの山内)
松崎夏未さんによるコミカライズ
烏に単は似合わない
- 『烏に単は似合わない1』…圧巻の描写と詳細な設定で描かれる八咫烏ワールドの始まり
- 『烏に単は似合わない2』…姫たちの陰謀と思惑が交錯する中、ある事件が起こる
- 『烏に単は似合わない3』…桜花宮で起こった連続殺人。さらに姫の一人が心を病んでしまう
- 『烏に単は似合わない4』…陰謀と殺人の真相。その真犯人は意外な人物だった
烏は主を選ばない
- 『烏は主を選ばない1』…絶妙なキャラクターと風景描写
- 『烏は主を選ばない2』…ムチャ振り、刺客の襲来、貧民街への出向
- 『烏は主を選ばない3』…圧巻の谷間描写
- 『烏は主を選ばない4』…「あれは下賤の者だ」の意味
- 『烏は主を選ばない5』…意外な裏切り者と意外な協力者
ファンブック・イベント
- 『羽の生えた想像力 阿部智里BOOK(電子書籍)』…ファンブックの電子簡易版
- 『八咫烏シリーズファンBOOK』…『空棺の烏』のキャラデザインや駆け落ちしたあのカップルのその後など裏話がたくさん
- 『追憶の烏』ネタバレトークイベント感想…鬼畜作家に精神を翻弄される漫画家
- 八咫烏シリーズ展覧会&トークショー2023…眼福だったし阿部先生ファンには菩薩
- 漫画版『烏は主を選ばない』3巻刊行記念スペースざっくり聞き書き…計算され尽くしたキャラ設定まじすごい