『楽園の烏』ネタバレ妄想

羽 本にまつわる話

八咫烏シリーズ第二部『楽園の烏』を読んだら、さまざまな謎が浮き上がってきました。感想とは別に推測を書き出してみました。

すべて、個人の感想であり妄想です。まったく根拠はありません。自分のブログに自分の妄想を書いているだけです。どうかご容赦いただければ幸いです…。

読んでも良い、と思われる方はネタバレを多分に含みますので、必ず『楽園の烏』と八咫烏シリーズ読了後にお読みください。

対をなす物語

八咫烏シリーズの特徴として物語や人物が対をなしており、それが時にトリックの一端を担うことがあります。

  • 奈月彦と長束、雪哉と雪馬・雪雉の異母兄弟の対比
  • 『烏に単は似合わない』と『烏は主を選ばない』の対称
  • 『玉依姫』と『弥栄の烏』のパラレル
  • 「澄尾」と「すみ」のひっかけ

『楽園の烏』では、「どこ」と「誰」が対になっているのか、それがわかれば謎が解けるような気がするのですが…

幽霊と第三の門

何度か読み返して思ったのですが、そもそも、トビと「幽霊」はどうやって接触したのでしょう?地下街の崩壊後はあれほど厳しく雪斎側に監視されているのに。

やはりそこには、第三の門がからんでくるのかもしれません。また、今の地下街では、千早くらいしか監視を出し抜けないと思うので、彼も「幽霊」の作戦に加担しているのでは…?

そして、第三の門は本当に「ない」のか。
雪斎は探してもなかったと発表していますが、捜索→なし、ではなく、捜索→発見→隠蔽の可能性もあります。

仮に第三の門が捜索→発見→隠蔽だった場合、「幽霊」は第三の門を通らずとも、綻びと山内を往復できる能力があり、トビと接触したのでは…?

トビと雪斎の最後の対話を読み返すとトビはただ「幽霊だよ」としか言っていません。果たしてトビが接触した幽霊は女性(紫苑の宮?)なのか。

そういえばもう一人、生きているか死んでいるかわからない状態の人がいましたね…。

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金について

衝撃的な紫苑の宮の正体に引っ張られがちですが、実は「金」に関しても謎が多い。

  • 山内の金を「欲」のために持ち出すと石に変わる。しかし、朔王がはじめに託した金は外に出しても無事
  • 朔王が私益ではなく、山内のためにと思ったからか?あるいは、第三の門は、山神の制約がきかない、山神と山内成立以前にあったものだとしたら…?

「若き」金鳥について

  • 20年後の金鳥は誰か。頼斗は雪哉のことををはじめに説明するのに「若き今上陛下より全幅の信頼…」と言っていた。奈月彦は雪哉より年上で「若き」という言葉に当たらない(「追憶」で判明)
  • 「幽霊」を紫苑の宮と仮定するなら、奈月彦、浜木綿はすでに死亡していることになるのだけど…(こちらも「追憶」で判明)

紫苑の宮について

  • そもそもなぜ、雪哉は紫苑の宮を(本当に)追い落としたのか?
  • 雪哉は「山内の状況を知った上で反旗を翻す貴族」を駆逐しようとしている。しかし、紫苑の宮が反対勢力(大紫の御前?)側というのは考えにくい。
  • あるいは、紫苑の宮をわざと逃して、反対勢力の掃討後に呼び戻すつもりとか?
  • 雪哉の政策は「八咫烏が(人形をとる)八咫烏でいるためのもの」であり、弥栄の最後で浜木綿が言っていた「ただの(人形をとらない)八咫烏でいいじゃないか」と相反する。

それが「幽霊」が語った「絶望的に意見が異なる」ことで、金鳥サイドと雪哉サイドとの対立の理由となり、雪哉が奈月彦たちを手をかけた…?

金鳥の名前

『弥栄の烏』で猿のオオキミが明かさなかった、八咫烏の神の名前。

それがわかれば、力の衰えた山神の眷属ではなく、鳥神として存在することができる。
しかし、その名前は永遠に失われてしまった。第二部ではそれが明らかになるのか…?

私は、地方豪族が「金鳥が来る前からいた八咫烏」という描写に、もしかしたら地方に古い神の名前が、なにかのかたちで伝わっているのでは…?と考えているのですが…

千早の行動

今回、3つの勢力(雪斎、トビ、重蔵)がはじめを巡って対立します。千早はそこに「偶然」居合わせ、巻き込まれていきますが、果たして「偶然」なのでしょうか。

彼は子どもたちの用心棒という立ち位置ですが、実は二部第四作『望月の烏』では澄生(紫苑?)の協力者として登場します。

もしかしたら、幽霊(紫苑?)に依頼されて、はじめを警護するとともに、情報を彼女に渡しているのかもしれません。

望月の烏ネタバレ妄想

朔王とは誰か

『黄金の烏』で登場し、『楽園の烏』で異様な存在感を示した朔王。

  • 紫苑の宮を外界に逃したとされる「第三の門」をなぜ知っていたのか
  • 「王」とは、「ボス」の意味ではなく、「王の一族」ではないのか

実は朔王は「王位につけなかった、真の金鳥」なのでは…?

『烏に単は似合わない』を読み返してみたらこんな描写がありました。

先々代の金烏の弟は母親が山烏だったため、人の姿をとれなかった

これは、下賤の者の血を蔑む描写ですが、ここで奈月彦の祖父に兄弟がいたことがわかります。

もし「彼」が朔王で、しかも「真の金鳥」だとしたら、外界を自由に行き来でき、邦律彦のように門に結界をはることができれば、いくら雪哉でも見つけることができないでしょうね。

真の金鳥が持つという「過去の記憶」を奈月彦が部分的に失っているのも、「誰か」がまだ記憶を持っている考えれば…。

真の金鳥の能力と記憶は中途半端に奈月彦に継承されたと考えれば、真の金鳥の能力等については説明がつくと思うのですが…。

また、朔王の代わりに政変によって王位についたのが奈月彦と長束の祖父だとしたら…。二人は谷間の不可侵条約の際に顔を合わせていますから。

しかし、真の金鳥誕生の際に起こる(門の鍵が開く)奇跡はどうなるのか。

あるいは、『玉依姫』で烏天狗の長・潤天が話す烏天狗の特徴が朔王に似ている気も…。

朔王については謎が多いので、いろいろ考えられますね。

八咫烏シリーズ感想

未読の皆さまには、まず第一部からお読みいただければ幸いです。『黄金の烏』までがアニメ化されています。各巻の概要と感想をまとめるとこんな感じです。

第一部

第二部

外伝

幕間(外界視点からの山内)

松崎夏未さんによるコミカライズ

烏に単は似合わない

烏は主を選ばない

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