『「八咫烏シリーズ」ファンBOOK』阿部智里

ファンタジー

以前、電子書籍のみで発売されていた『「八咫烏シリーズ」ファンBOOK』。今回、阿部先生作家生活10周年を記念し、描き下ろしや過去のインタビューなど秘蔵の記事を再編集。

さらになんと、まだ世に出ていない『空棺の烏』のキャラが描かれているという、八咫烏ファン垂涎の一冊です。

編集:オール讀物編集部
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小説家・阿部智里ができるまで

阿部先生が小説家を目指すまでの経緯と、愛読書についての文章が印象的でした。阿部先生は小さい頃から空想力と物語力に長けていたお子さんだったそうです。

こうして読むと、阿部先生の幼少期って『精霊の守り人』シリーズの上橋菜穂子先生と似ていますね。

  • 親や周囲が空想力を否定しなかった
  • 家族による読み聞かせが頻繁に行われていた

上橋先生も、おばあさまが膝の上で語ってくれた物語が小説家の原点であると言っていました。

おふたりとも家族や周囲が物語を聞かせてくれる環境に育ってるんですね。

そして、阿部先生のご両親は「作家になるだなんて、やっていけるはずないでしょ?もっと安定した職に…」などと、おっしゃらなかったんですよ。

親や周囲が子供の夢を否定しない環境って大事だなと思いました。

『空棺の烏』のキャラと山内当世風俗通

まだ漫画化されていない『空棺の烏』からキャラクター絵が掲載。茂さんや明留、千早など勁草院メンバーが勢ぞろい。

他にもキャラへのインタビューもあり、より人物像を楽しめます。翠堅や清賢など講師陣や治馬のキャラ設定も。
阿部先生が「清賢て実はヤバいやつ」と言っていたのですが、イラストを見ると「なるほど確かに」と納得。

山内当世風俗通は、山内の文春のようなゴシップ雑誌…という設定で、登場人物たちの裏話が掲載されています。

駆け落ちしたあのカップルのその後や、綺羅絵にわざわざポーズをつけるあの山内衆だとか、中央の街をうろつく場違いな美少年の話など。

信じるか信じないかはあなた次第です(笑)

紙面の構成はデザイナーの野中さんが江戸のかわら版からヒントを得てデザインされたそうです。細部にまで凝った作りになっています。

阿部先生によるQ&A

『八咫烏シリーズファンブック』は公式ツイッターで集めた読者からの質問を、阿部智里さんが答えています。電子書籍版からさらに質問が追加されました。

山内の世界観や、八咫烏シリーズの裏話や執筆に関することなど、質問は多岐にわたり、それに対して阿部先生が丁寧に答えてくださっています。

八咫烏の生態についても細かく語られています。

特に「羽衣」の仕組みは興味深く、羽毛の変形ではなく「意識でつくる髪の毛の編み込み」に近いのだとか。

ほかにも色々盛りだくさん

人間側から見た山内世界を描いた「幕間」シリーズも掲載。それぞれ、八咫烏と関わってしまった人間の、不可思議で恐ろしい現象が描かれています。

  • 『山を下りて』…朝の山道で主婦が助けた家出少年たち秘密
  • 『烏の山』…道に迷ったカップルが出会ったのは、幼い子どもたちと大量の烏

八咫烏シリーズの漫画版を担当された松崎夏未さんによる相関図も。キャラクターの解説で、かなり突っ込んだコメントが面白い。

雪哉には「家族思いの腹黒」とか、あせびの若宮へのコメント「いつか誤解が解ければいいのにな♪」等、毒舌だが、ものすごく的を得ている…。

八咫烏シリーズ感想

未読の皆さまには、まず第一部からお読みいただければ幸いです。『黄金の烏』までがアニメ化されています。各巻の概要と感想をまとめるとこんな感じです。

第一部

第二部

外伝

幕間(外界視点からの山内)

松崎夏未さんによるコミカライズ

烏に単は似合わない

烏は主を選ばない

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