『望月の烏』ネタバレ妄想

八咫烏考察 本にまつわる話

望月の烏』では、紫苑の宮の消息など、様々なことが判明したものの、まだまだ謎が多い八咫烏シリーズ。懲りずに妄想を考えてみました。

※あくまで個人の感想であり、多くのネタバレを含みます。ご容赦いただければ幸いです。

著:阿部 智里
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『望月の烏』感想はこちら

判明した謎、しなかった謎

凪彦のお妃選びは『望月の烏』で実現しましたし、葵(澄生)の正体も判明しました。でもまだ謎は残ります。

  • 奈月彦の遺言の「皇后」の意味…不明
  • 安原はじめの動向と、朔王の生死…不明
  • 山神の現状と山内の崩壊…不明
  • 浜木綿の行方…不明
  • 真の金鳥(始祖の山神)の名前…不明
  • 第三の門のありか…不明?

しかし、山神関係もまだ謎のままですし、山内の崩壊がいつ、どんなかたちで起こるのかもわかりません。

新たな謎

  • 山吹の立ち位置…彼女は東家側なのか、それとも…?
  • 双葉の思惑…憎きあせびの息子を育てた理由
  • 松高の理由…彼の行動原理は?出自は予想がつくけれど…
  • 澄生の羽衣…被衣(かずき)のように特徴的な羽織るタイプ。他の羽衣とも違うような気も…

八咫烏シリーズの登場人物は、言動不一致な人が多いので、言葉よりも行動に注視して読んでいったほうがいいかもしれません。

紫苑の宮の「命」にこだわる雪哉

「私はあれの幸福などどうだっていいのですよ」と凪彦に言い放った雪哉。しかし彼は一貫して紫苑の宮の「命」にこだわります。

まるで、生きていさえすれば、凪彦の愛妾になろうといいと考えます。なぜ彼はここまで紫苑にこだわるのか。彼女が生きている方がやっかいなことが多いのに。

もちろん、幼い頃から守ってきた愛しい子だから、という理由もあるでしょう。でも、もし仮に紫苑の宮が真の金烏の能力を保持している、もしくは雪哉が原始の女神の復活を期待しているとしたら、紫苑の「命」にこだわるのは当然なのかもしれません。

博陸候と澄生

物語終盤、澄生が凪彦の元を訪れた時。そこへ博陸候が登場。二人は舌戦を繰り広げ、山内のあり方について意見を戦わせます。

しかし、澄生が「あなたはそれが間違った道だと知りながら進むのですね」と博陸候に問いかける場面は、相手の意志を確認しあってるようにも思えます。

だとすると、二人はここで、他人にはわからない意思の疎通を行っていたのかも…?あるいは最初から、二人は通じていた?

幼い頃から暗殺の危険にさらされていた紫苑の宮とそれを守る雪哉。、二人の間にしかわからない暗号めいたものがあったとしたら?

実際、二人の会話には誰も入れなかったですしね。(治真でさえも)

あせびの意趣返し

『望月の烏』では山内でもっとも権威のある女君となったあせび。けれど彼女はあの頃のままです。姿も心も成長していない。

急に思いついて姫たちに雛人形を持ってこさせるシーンが印象的でした。『烏に単は似合わない』で形代の粗末な人形を蔑まれた意趣返しなのでしょう。

読み返して思ったのですが、そもそも『烏に単は似合わない』であせびが持っていた庶民の雛人形。これは一体、誰のものだったのか。

彼女の出自は『はるのとこやみ』で明かされますが、それを考えると、あの雛人形は父親である楽士が贈ったのかもしれません。

それを、母親の浮雲から、あせびが受け継いだとしたら、彼女の両親は本当に愛し合っていたのかもしれません。

まあ真相は闇の中ですが…。

おまけ:女性たちの真名

SNSで紫苑の宮の名前について考察されていましたので、わたしもちょっと考えてみました。彼女の仮名「葵」は太陽に向かう花です。

また、彼女自身が金鳥だとするなら、ひみこ(日見子、陽見子)などもありそう。原祖の烏女神とも関連するなら「ヒメミコ」がつくのかもしれなません。

追憶の段階でも、紫苑や歴代金烏の名前について考察してみました。

あせびちゃんは馬屋古(うまやこ)。仮名と出自、人物像から考えるとありかも。

馬屋古(うまやこ)は厩戸皇子(聖徳太子)の娘の名前ですが、キリスト=聖徳太子の逸話にちなんだものではなく、ここでは単に厩レベルの「下賤の者」とかいう意味です。

しかし、いくらなんでもそんな名前、母親の浮雲が反対するだろう、と思ったのですが、私は浮雲=弱視説を提唱しているので、音だけで判断して「かわいい」と思ってつけたと考えています。

八咫烏シリーズ感想

未読の皆さまには、まず第一部からお読みいただければ幸いです。『黄金の烏』までがアニメ化されています。各巻の概要と感想をまとめるとこんな感じです。

第一部

第二部

外伝

幕間(外界視点からの山内)

松崎夏未さんによるコミカライズ

烏に単は似合わない

烏は主を選ばない

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ネタバレ込みのこれまでの考察

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