二作目にして、人の姿をとる八咫烏(やたがらす)の世界が広がる『烏は主を選ばない』。前作『烏に単は似合わない』と対になる作品です。
若宮を命を狙う事件が少年・雪哉の視点で描かれます。
ファンタジーの形を借りたミステリでもあるので、謎解きの面白さもあります。
『烏は主を選ばない』 あらすじ
八咫烏が住む「山内」。その北領・垂氷郷長のぼんくら次男・雪哉は、ある事件がきっかけで日嗣の御子の側仕えとして宮中へ出仕するハメになる。
雪哉が仕えることになった若宮・奈月彦は、その美しい容姿とは裏腹に、とてつもなくマイペースで破天荒。
雪哉はたったひとりの側仕えとして、無茶振りをこなすことに。ほかにも若宮の妓楼通いに付き合ったり、博打のかたに貧民街で下働きをさせられたり…。
若宮は、兄君・長束を差し置いて金烏(この世界での最高権力者)に指名されていたため、常に暗殺の危機を抱えていた。
誰が味方で、誰が敵か。若宮の暗殺事件をめぐって宮中の権力が交錯する。
若宮暗殺を巡る、宮廷ミステリ
前回の『烏に単は似合わないでは、この若宮のお后候補たちが若宮を待ち焦がれる間に様々な事件が起こるります。でも、若宮はあまり姿を表しません。
じゃあ、何をしていたかというと、その理由がこの『烏は主を選ばない』で語られます。
なにせ、信頼できる味方が護衛の「山内衆」の澄尾と雪哉しかいないという状態。そのため敵をあぶりだしたり、暗殺を阻止したりと忙しかったんですね。
、姫たちに通わなかったのも、下手に期待を持たせたくなかったのと、暗殺の危険性があるからだったそうで。
じゃあ、ちゃんと説明しろよ…。と思うのですが、どうもこの若宮「言葉が圧倒的に少ない」(雪哉談)らしいのです。
おそらく賢すぎて、「言わなくてもわかるだろ、わからない奴はいいや」と思っているフシがあります。
まあ、そんな手のかかる若宮ですが、雪哉も怒りながらも徐々に仲良くなっていくんですね。
時々、若宮が投げてよこす「金柑の砂糖漬け」の描写が、若宮の、雪哉に対する信頼を表現しています。
「主」メディアミックス
『烏は主を選ばない』は現在、コミカライズ連載中。前作『烏に単は似合わない』も刊行されています。
また、2024年にはNHKでアニメ化。原作三作までが放送されています。
八咫烏シリーズ感想
未読の皆さまには、まず第一部からお読みいただければ幸いです。『黄金の烏』までがアニメ化されています。各巻の概要と感想をまとめるとこんな感じです。
第一部
- 『烏に単衣は似合わない』…ゆるふわ世間知らず美少女のシンデレラストーリー?
- Audible『烏に単衣は似合わない』…そりゃこんな声で笑顔で言われたら落ちますよ…
- 『烏は主を選ばない』…ひねくれ小僧と空気読まない若君のバディ誕生
- 『黄金の烏』…人(八咫烏)食い猿がやってきた…!
- 『空棺の烏』…和製ハリー・ポッター(ただし魔法なし)
- 『玉依姫』…なんで私が異世界に?
- 『弥栄の烏』…山神さま、ちょっと落ち着いてください…!
第二部
- 『楽園の烏』…地獄のここが楽園だ。ダース・ベイダー雪斎爆誕
- 『追憶の烏』…私はただ、お慰めしたかっただけなのです…!
- 『烏の緑羽』…バブみイケメン成長ゲー
- 『望月の烏』…私、博陸侯のお手伝いをしたいのです!
- 『亡霊の烏』…紫苑VS博陸侯。試合に勝って勝負に負けた博陸侯
外伝
- 『かりんみず』…美味しいかりんみずはいかがですか?藤波さま
- 『さわべりのきじん』…虫を生のまま食おうとすんじゃねえ
- 『きらをきそう』…山内版・北斎の娘と花魁の世界
- 『烏百花 蛍の章 八咫烏シリーズ外伝1』…雪哉がセミ食ったりとか
- 『烏百花 白百合の章 八咫烏シリーズ外伝2』…きんかんを煮たりしています
幕間(外界視点からの山内)
松崎夏未さんによるコミカライズ
烏に単は似合わない
- 『烏に単は似合わない1』…圧巻の描写と詳細な設定で描かれる八咫烏ワールドの始まり
- 『烏に単は似合わない2』…姫たちの陰謀と思惑が交錯する中、ある事件が起こる
- 『烏に単は似合わない3』…桜花宮で起こった連続殺人。さらに姫の一人が心を病んでしまう
- 『烏に単は似合わない4』…陰謀と殺人の真相。その真犯人は意外な人物だった
烏は主を選ばない
- 『烏は主を選ばない1』…絶妙なキャラクターと風景描写
- 『烏は主を選ばない2』…ムチャ振り、刺客の襲来、貧民街への出向
- 『烏は主を選ばない3』…圧巻の谷間描写
- 『烏は主を選ばない4』…「あれは下賤の者だ」の意味
- 『烏は主を選ばない5』…意外な裏切り者と意外な協力者
ファンブック・イベント
- 『羽の生えた想像力 阿部智里BOOK(電子書籍)』…ファンブックの電子簡易版
- 『八咫烏シリーズファンBOOK』…『空棺の烏』のキャラデザインや駆け落ちしたあのカップルのその後など裏話がたくさん
- 『追憶の烏』ネタバレトークイベント感想…鬼畜作家に精神を翻弄される漫画家
- 八咫烏シリーズ展覧会&トークショー2023…眼福だったし阿部先生ファンには菩薩
- 阿部智里「八咫烏シリーズ」&名司生特別展2025…八咫烏シリーズと名司生さんオリジナルのイラスト展示
- 漫画版『烏は主を選ばない』3巻刊行記念スペースざっくり聞き書き…計算され尽くしたキャラ設定まじすごい
