八咫烏シリーズ1『烏に単は似合わない』阿部 智里

八咫烏 イラスト ファンタジー

和風異世界ファンタジー『烏に単は似合わない』、面白いです。人の姿をした八咫烏たちの世界が描かれます。

八咫烏が支配する土地「山内」の統治者である金烏。

その世継ぎの若宮への入内をめざす貴族の姫が宮中で遭遇する事件を軸に、不思議な八咫烏の世界が描かれます。

著:阿部 智里
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『烏に単は似合わない』あらすじ

八咫烏の世界「山内」を統べる金烏、その世継ぎの若宮へ入内を果たすべく、貴族の頂点であり東西南北の領地を司る四家からそれぞれの姫が桜花宮へと登殿する。

東家の二の姫・あせびは病気の姉に変わり、急きょ登殿に参加することに。

西家の真赭の薄、南家の浜木綿、北家の白珠、各家の美しい姫たちそれぞれが競い合い、若宮の心を射止めようとしていた。

しかし、世間知らずのあせびは登殿の意味さえ知らず、他の姫たちから侮られてしまう。

そんな時、若宮が桜花宮へ訪れる。

実はあせびは幼いころ一度だけ若宮に会ったことがあった。若宮を見かけてから、彼への思いを募らせるあせび。

しかし、女官の自殺、不審者の侵入など、宮中でさまざまな事件が起こる。やがてそれは四人の姫たちを巻き込んでいき…。

斬新な八咫烏シリーズの世界観

モチーフとしては「十二国記」「後宮小説」「源氏物語」などの設定に共通点がみられるものの、八咫烏が支配する世界というのがなかなか斬新でした。

読んでいくにつれ、徐々に八咫烏の世界「山内」の謎が解かれるのが面白いですね。

八咫烏の世界は、日本の平安時代に似ています。

東西南北を統べる四家を頂点にした「宮烏」と呼ばれる貴族は人の姿をとり、烏の形になることは恥だと言われて育ちます。

一方、庶民の「山烏」は烏の形へたびたび変化します。烏の形をとらない=別の移動手段をもつことが、ステータスなんですね。

異世界恋愛ファンタジーかと思ったら、叙述トリックミステリだった

幼いころ、心を通わせた少年少女が時を経て再会したとき、何が起こるのか。当然、読者は古典の「筒井筒」のような純愛をイメージします。

それが「普通」で、「通説」だったから。

物語の構成も雅に春夏秋冬、再びの春となっていて、これだけみたら、どうしたって純愛を期待してしまうのだけど、読んでいくうち、「…?」「…!」といった展開に。

「筒井筒」だと思っていたら「藪の中」だったみたいな…。

おもえばこのタイトル『烏に単は似合わない』にも、物語の本質が隠されているような気がします。

このラストの展開は見事でしたが、私はちょっと後味の悪さを感じてしまったかな。でも、まともな展開じゃなかったからこそ面白いのですが。

作者の阿部智里さん、この本を書かれた時は20代前半だったそうで、いやはや、異色の、そしてものすごい作家が誕生しました。

それは、今後の展開を読んでいくとわかるのですが…。

Audible版の『烏に単は似合わない』、疋田涼子さん朗読 の声の演じ分けがすばらしかったです。

八咫烏シリーズ感想

未読の皆さまには、まず第一部からお読みいただければ幸いです。『黄金の烏』までがアニメ化されています。各巻の概要と感想をまとめるとこんな感じです。

第一部

第二部

外伝

幕間(外界視点からの山内)

松崎夏未さんによるコミカライズ

烏に単は似合わない

烏は主を選ばない

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