『秘密の花園』はインドで両親を亡くし、ヨークシャーの叔父に引き取られることになった少女・メアリーが見つけた花園の物語。
体が弱く、半ば引きこもりの少年コリン、動物と心を通わせられる少年・ディコンが、隠された花園をよみがえらせてゆくお話です。
こどもの頃に読んだ物語を大人になってから読み返すと、当時は気づかなかった新しい発見があったりします。
今回読んだ文庫版「秘密の花園」は児童書では省略された部分が補足されているので、大人でも読み応えのある文章量でした。
秘密の花園の発見や、邸内の探検のシーンは、こどもの頃に親戚の古い家の中を探検したような気持ちが蘇ります。
なかでも物語で重要な役割を担うマーサの一家の描写がすてきでした。
マーサも弟ディコンもメアリーとコリンのことを心配して、無償で世話を焼いてくれます。
彼らは家が貧しくても仲良く、「おっかさん」はまるで聖職者のように、こどもたちと叔父さんの心をつなぐ手伝いをしてくれます。
これはもしかしたらキリスト教の教義等にもとづく設定かもしれません。
梨木香歩さんの『秘密の花園ノート』でも同様の記述がありました。やはり欧米の児童文学はキリスト教の影響がみられるんですね。