八咫烏シリーズ外伝『おにびさく』阿部智里(ネタバレ含む)

ファンタジー

八咫烏シリーズ外伝『おにびさく』。「鬼火灯籠」という山内独自の工芸品(照明)と、それを創る職人の成長が描かれた短編。

後の『追憶の烏』につながるエピソードも。

ファンタジーは王や貴族といった施政者よりも、市井の生活にこそ世界観が反映されていて、興味がつきません。

著:阿部 智里
¥200 (2025/04/11 21:26時点 | Amazon調べ)
\楽天ポイント4倍セール!/
楽天市場

『おにびさく』あらすじ

師匠である養父に死なれ、不器用で自信のもてない職人の登喜司。さる高貴な方から、鬼火灯籠の製作を依頼され、登喜司をはじめ多くの職人が参加することに。

他の職人と自分を比べ、自信がもてなかった登喜司に、養母は意外な言葉をかけてくれて…。

山内のグッドデザイン

師匠である養父に死なれ、不器用で自信のもてない職人の登喜司。ですが、彼がもがきながら作り上げた鬼火灯籠。

父親から受け継いだ技法と、登喜司自身のデザインセンスもすばらしいのですが、私がなにより感じたのは「使う人のために」と考えられている点が優れていると思うのです。

大紫の御前の「母性」

烏に単は似合わない』で心に傷を追った藤波を慰めるため、大紫の御前が鬼火灯籠の制作を依頼します。

八咫烏シリーズファンブック』によると、藤波はあの事件後、大紫の御前により尼寺に預けられているそうです。

果たして憎い若宮の妹である藤波に、大紫の御前は「母性」を感じたのか。
私はどちらかというと、「思ってはいけない相手への、叶わない想い」を持つ同士としてのシンパシーなのじゃないかなと思うのです。

大紫の御前は藤波の中にも「自分」を見出していたのかもしれません。

※大紫の御前の心情については外伝『なつのゆうばえ』で語られています。

しかし、そうはいっても、大紫の御前が藤波に対して若宮と違う感情があるのは事実のようですね。

そして、深く傷ついてしまった藤波の心が癒やされますように。でも、傷つけた当の本人は今ものほほんとしているんだろうな…。

物語がある救い

登喜司のつくる回り灯籠の描写を読んだ時、故郷・お盆の風景を思い出しました。

灯籠の淡い光が川のきらめきのように部屋中に溢れ、とても美しいのです。読んでいて懐かしくなりました。

この話を読んだ時はちょうどコロナが蔓延し、心身ともに苦しい時期でした。そんな時、定期的に物語を提供してくれたことで、どんなに励まされたことか。

本当に物語って救いになりますね。

著:阿部 智里
¥750 (2025/04/14 13:22時点 | Amazon調べ)
\楽天ポイント4倍セール!/
楽天市場

八咫烏シリーズ感想

未読の皆さまには、まず第一部からお読みいただければ幸いです。『黄金の烏』までがアニメ化されています。各巻の概要と感想をまとめるとこんな感じです。

第一部

第二部

外伝

幕間(外界視点からの山内)

松崎夏未さんによるコミカライズ

ファンブック・イベント

ネタバレ込みのこれまでの考察

タイトルとURLをコピーしました