『オムライス日和 BAR追分』は新宿三丁目の奥にある「ねこみち横丁商店街」、その路地の一番奥にあるのが「BAR追分」が舞台の物語。
昼間は美味しいご飯の「バール」、夜は本格的な「バー」。ふたつの顔をもつBAR追分に集まる、人々の物語。
猫の恩返し
「ねこみち横丁」の地域猫・デビイが最近、外で餌を食べているらしい。
デビイの肥満を心配するバールの料理人桃子と、管理人(兼脚本家の卵)の宇藤は、餌をあげた人向けにデビイのリボンにメッセージを送る。
ところが数日後、デビイの首には「助けて」の文字が…。
どこの誰かわからない助けを求める人を探すため、ねこみち横丁のメンバーが立ち上がります。
脚本家を目指す宇藤くんは、商店街の紹介でフリーペーパーにエッセイの連載をもらえることに。
少しずつ夢を叶えていく姿は、商店街の人々と同じく、読者の私も嬉しくなります。
モモちゃんが自分や宇藤のことを「横丁のみんなに居場所を与えてもらっている地域猫みたいなもの」と言ってました。
横丁のみなさんも若い人たちを応援したいんでしょうね。
オムライス日和
宇藤くんは大学時代の友人、菊池沙里にぐうぜん再会する。沙里から同級生たちの話を聞き、道半ばの自分と比べてしまう。
沙里は結婚式の二次会後、BAR追分で宇藤を知る友人とあけすけに宇藤くんの話をしてしまう。そして、それを宇藤くんに聞かれてしまい…。
そりゃ、相手のテリトリーで相手のことをあけすけにしゃべるのって、ルール違反ですよ。
宇藤くんは、働いている菊池さんにコンプレックスを感じ、仕事や恋に行き詰まっている菊池さんは、夢を追いかけている宇藤くんがうらやましい。
みんな、誰かをうらやましいって思ってるんですね。
オムライスって、日常食だけれど、レシピによってご褒美ごはんにもなる。オムライスの黄色と赤いケチャップライスをみると、元気をもらえます。
ようこそ餃子パーティーへ
ねこみち商店街のイベント・フリーマーケット後の慰労会。今回は、宇藤、桃子、バーテンダー見習いの伊藤の3人で仕切ることになった。
宇藤くんは唯一の得意料理・餃子をつくり、桃子が焼き、淳がビールを差し入れた慰労会は大好評。
宇藤くんはBARの常連の梵から、「スランプの時は基本に帰って(文章で)スケッチをすれば」と教えられ、横丁の人々の姿を書き始める。
文章でスケッチっていい表現ですね。私もやってみたくなりました。こうしてコツコツと積み上げていけば、それはきっと、自分の力になっていきますよね。
森の診療所(リトリート)
BAR追分のバーテンダー見習いの純は、中性的な容姿を持つミステリアスな男性。ある日、昼の営業中、3人の女性が「シドウジュンヤ」を探しに来たと告げる。
どうやら純のことらしい。
純は以前、人気の舞台俳優でケガで引退。以来、隠れるように暮らしている。森の診療所の久保田先生は、何も聞かず彼の治療を行う。
しかし、いきなり相手の場所を荒らすようなマネをするファンはどうかと思いますね。
人に弱みをみせない純くんですが、久保田先生は信頼している様子。
でも久保田先生はバツイチで年上なので、施術者と患者という立場を崩さないようですが。
雨の夜、2人がゆっくり食事をするシーンが美味しそうで、温かみを感じます。