『カフーを待ちわびて』原田マハ

カフーを待ちわびて 小説感想
カフーを待ちわびて

カフーを待ちわびて』は、沖縄の小島を舞台とした、あたたかく、奇跡のようなものがたり。原田マハさんの小説デビュー作です。

著:原田 マハ
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『カフーを待ちわびて』あらすじ

ガジュマルを渡る風が風吹き抜ける美しい島に飼い犬・カフーとともに暮らす明青。
そんな明青のもとに見知らぬ女性・幸から「お嫁さんにしてください」と手紙が届く。

最初、なにかの冗談かと思っていたが、そのうちに会ったことも無い幸の訪れを待ちわびるようになる。

やがて訪れた幸との奇妙であたたかな同居生活が始まる。しかしやがて、島のリゾート開発に伴う立ち退き問題や、周りの人間の無邪気な悪意によって、幸は明青の元を去っていってしまう。

やがて幸が明青の元にきた「ほんとうの理由」を知るのだが…

沖縄を舞台にした切ないラブストーリー

沖縄の美しい自然に抱かれた、かわいらしいラブストーリー…。かと思いきや、中身は結構人間の愛憎がドロドロしていました。

島のリゾート開発に絡む立ち退き問題が起こり、明青も巻き込まれたり、立ち退き反対派の子供に執拗ないじめがあったり。

「沖縄の人間はみんな明るくていい人」という内地の人間の勝手な憧れなんですよね。

そんな中、明青だけは以前と変わらない生活を望んでいる。そして「カフー」を待って、待ちわびる生活を続けている。

そこには決して純粋なだけではない理由があるんですが。「待ちわびる」しかなかった明青の思いが、切ないし、幸が明青の元に来た理由も切なくて…。

「カフー」とはウチナーで「幸せ」「果報」「良い知らせ」のこと。明青と幸の二人に「カフー」が訪れるよう祈っています。

[追記]映画化されました。主演は玉山鉄二さん。
私の明青のイメージは10年前の時任三郎さんですが、玉山さんの明青も楽しみです。あの端正な顔でせつない表情をされるとたまりません。

監督:中井庸友, 出演:玉山鉄二
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続編的な物語『花々』では、明青と幸のその後が知らされます。島々を巡る女性たちの物語です。

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