物理的にも心情的にも「電子書籍で絶対に読めない本」を3冊集めてみました。紙の特徴や印刷、装丁を生かしたこれらの本は、電子書籍やオーディオブックでは味わえない体験を与えてくれます。
『世界でいちばん透きとおった物語』杉井 光
「電子書籍化不可能」というキャッチコピーに惹かれて読みました。最後まで読むとタイトルの意味と、この本の仕掛けがわかるようになっています。
紙の本でしかできない「仕掛け」が素晴らしい。物語と仕掛け、両方が楽しめます。
『やぶるうまれる絵本』rekko
やぶることで完成する絵本です。ふつうは本を破ったら叱られますが、『やぶるうまれる絵本』は破れば破るほどホメられます。(たぶん)
ビリビリ破くと、下にまた絵がえがれているのが楽しい。また、山の稜線や、空の雲、消防車の水、煙など、工夫してやぶけば自分だけの絵本が完成するのです。
『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている』佐々涼子
東日本大震災で被災した日本製紙石巻工場の再建を描いたノンフィクション。壊滅的打撃をうけた工場をたった半年で再建した工場、会社の人々の思いが伝わります。
政治家や社会問題には辛辣なあの池上彰さんですら、この本の紹介時には涙を浮かべていました。
物理的には電子書籍化は可能ですが、発売されていません。やはりみんな、この本は紙で読みたいんでしょうね。
ポチップ
まとめ
今回、本のデザイン的に電子書籍化が不可能なもの、あるいは紙でなければ本の意図が伝わらない本をご紹介しました。
たぶん、世の中にはもっと電子書籍で読めない本がたくさんあるのでしょう。(古書とか)
でも、こうしてわざと制限を楽しんだり、紙の良さを認識するといった「制限」が逆に魅力になっている気がします。
また、紙でしか読めない本とは逆に、電子書籍でしか読めない本もあったら面白いですね。探してみようと思います。