後宮の烏スピンオフ第二弾『海神の娘 黄金の花嫁と滅びの曲』は前作『海神の娘』より前の時代のお話。
戦争が絶えない沙文と沙来。それぞれの国の領主とその妻である海神の娘、彼らを支える人々を中心に描かれます。
『海神の娘 黄金の花嫁と滅びの曲』あらすじ
沙来の楽士である忌は、ある日、海から聞こえる曲に合わせて笛を吹いてしまう。師匠からそれが「滅びの曲」だと知らされた忌は、楽士を辞めて海神の娘に仕えることに。
しかし、滅びの曲に呼応するように沙来には災いが続く。さらに生まれた御子・由には「敵国・沙文の王となる」との神託を受ける。
争いが激化した沙文と沙来は、やがて海神の祟りを受けることに…。
海神と巫女王
『後宮の烏』の烏連娘娘も、海神も、この世界の神々は残酷で気まぐれです。海神に選ばれた領主や海神の娘でも、自ら努力をして状況を変えていかないと生き残れない。
実際、戦では沙文の方が禁忌を犯しているのですが、滅びたのは沙来ですから。神の気まぐれに人はふりまわされてしまうのです。
それは、『十二国記』や『香君』などでも描かれたテーマで、神と施政者、人のありかたについて考えさせられます。
そして実は、人々に直接的な加護を与えるのは巫女王・霊子の進言によるもの。
彼女は海神のパートナーとして、気まぐれな海神に手を焼きながら海神の娘たちを助けようとします。
霊子と海神の出会いの話もいつか読んでみたい。
前作『海神の娘』はこちら。