家にまつわる怪異を「営繕」というかたちで整える『営繕かるかや怪異譚』の第二弾。昔の人は長年の知恵から怪異を避ける方法を知っていました。
しかし、現代ではそれらのシステムが顧みられなくなり、異変に対処できないのです。
どのお話も面白いのですが、特に『魂やどりて』という、着物にまつわる怪異が印象に残りました。
ふるぎぬの思い『魂やどりて』
DIY好きのおおざっぱな女性が、古い家具や着物をぞんざいに扱ってしまう。そのせいで周りに嫌われ、ついには幽霊にまで罵られることに…。
加門七海さんの『着物憑き』によると、昔の着物はその人の寸法に合わせて仕立てられているため、魂を抜くためにきちんと自分の寸法に仕立て直すと書いてありました。
それができない時は、少しだけ糸を断ち切ってみるのだとか。
波津彬子さんの『ふるぎぬや紋様帳』でも、着物にこめられた思いは時に人を惑わしたりもします。
それだけ、昔の女性にとって着物は大事なものだったのです。
特に昔の着物は手間暇をかけて縫うものでしたから、自分の作品をぞんざいに扱われたら、私でも化けてでるかもしれません。
なんにせよ、リサイクル着物を買うときには覚悟と注意が必要なのだな、と自分への戒めにもまりました。
それにしてもこのお話、主人公の育が「悪人」で、隣の真穂が「善人」であり、「悪人」が罰を受けるという昔話のスタイルにもなっていて興味深いです。
場を整える
尾端さんの営繕は「除霊」でも「浄霊」でもなく「場を整える」「ずらす」に近い気がします。
怪異を「ありえないもの」ではなく「あるもの」として普通に捉え、欠けたり歪んだりした場を直していく。
幽霊のことを「お住まいの方」とか「ご先祖様」と言った言葉で表すのも、彼の怪異に対する真摯な態度が伝わります。
昔の人は長年の知恵から怪異を避ける方法を行ってきました。しかし、現代ではそれらのシステムが顧みられなくなっています。
諸星大二郎の妖怪ハンターシリーズでも、祭りの祭祀の方角や日時を勝手に変えてしまい、化け物が現れた、なんて話もありました。
現代の都合に合わせてルールを変えてしまうと、とんでもないことになりそうですね。
