原田マハさんのアート小説『リボルバー』はゴッホが自殺に使用したとされる銃、リボルバーを巡る物語。アートを知らなくても、ミステリとしても楽しめます。
『リボルバー』あらすじ
ゴッホとゴーギャンの関係を研究する冴。彼女が働くオークション会社に、謎の女性、サラから錆びついたリボルバーが持ち込まれる。
彼女はこれを「ゴッホの自殺に関連した銃」だと言うが確証はない。さらに調査を進めると、この銃はもともとゴッホの友人であり画家のゴーギャンのもので、彼の子孫に受け継がれてきたものだという。
ゴッホとゴーギャンの間に何があったのか。ゴッホの死の真相とは…?
誰がゴッホを殺したの?
ミステリ要素のある構成はアンリ・ルソーの絵の謎を解く『楽園のカンヴァス』を彷彿とさせます。
ゴッホの死は自殺と言われていますが、実は他殺説も存在しています。
マザーグースの「誰がこまどり殺したの?」ならぬ「誰がゴッホを殺したの?」ですね。
『リボルバー』では、「ゴッホを殺したのはゴーギャン」という説が浮上します。ゴッホとゴーギャンは数ヶ月間、共に暮らして制作を行っていた記録が残っています。
ゴッホは精神的に不安定で攻撃的な面があったので、ゴーギャンも苦労したんでしょうね。やがて二人は袂を分かつのですが、その後ゴッホは自殺。
そんな史実の隙間を埋めるかのように、壮大な物語が展開していきます。読んでいくうちに「もしかしたら、こんなことがあってもおかしくない」と考えるようになりました。
それは、原田マハさんのアートに関する深い知識に裏打ちされた創造性によるものだと思うのです。
原田マハ アート小説
- 『板上に咲く』…妻の視点から描く版画家・棟方志功
- 『楽園のカンヴァス』…アンリ・ルソーの絵画を巡るミステリ
- 『リボルバー』…ゴッホを殺した銃についてのミステリ