『花菱夫妻の退魔帖 五』白川紺子

香炉 ミステリ・ホラー
香炉

花菱夫妻の退魔帖 五』では、子を思う母の霊、子を襲う父の霊に遭遇する花菱夫妻。一方、鈴子の養い親殺しの容疑者の詳細が明らかに。

そして、鈴子に執着する老婦人の不気味な行動。

謎が謎を呼ぶ大正幽霊奇譚、ますます面白くなってきました…!

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『花菱夫妻の退魔帖 五』あらすじ

鈴子の育ての親たちを殺した犯人を探る一方、花菱家には時おり霊にまつわる話が舞い込む。

白鈴子

孝冬の友人、五十嵐から「借家に出る元娘義太夫の霊を確かめて欲しい」と依頼され、彼女がなぜ成仏できないのかを探る。

そこには明治に人気を博した娘義太夫に絡んだ炎上事件も関与していた。娘義太夫は明治のアイドルで、オタクや追っかけもいたんだとか

星の川

鈴子の実家に出入りの呉服屋の女将が悪夢に悩まされ、さらには父親の霊を見たという。

しかし、家には霊はいない。女将に話を聞くと例の鴻夫人から実家に線香を上げるよう勧められたという。

鬼子母の実

鈴子の養い親殺しの容疑者・南条の妻の家を尋ねる花菱夫妻。しかしすでに妻は死亡しており、住人たちに話を聞くと、妹とその代理人が葬儀を仕切っていたという。

妹の名前は薗部らく。孝冬の兄・実秋の恋人だった人で、どうやら南条と兄の間には何か関係があるようで…。

過去の因縁と謎の老婦人

鴻夫人が今回も不気味です。相談にのるふりをして、自分の意のままに人を操り、最終的に鈴子たちを幽霊事件に巻き込もうとします。

幽霊に巻き込まれた人々は、最終的に鈴子たちによって救われるものの、心に傷を負追ってしまう。なのに、そこにまったく頓着しない。悪気がないんです。

烏に単は似合わない』の、あの女を思い出します。

着物と食べ物の描写

幽霊絡みの悲しい話が多い中、着物と食べ物の描写が物語を彩ってくれます。

表紙にもある鈴子さんの衣装は葡萄づくし。

地紋(あらかじめ反物に織られた模様)の上から刺繍を施すなど、豪奢だけれど品の良いお着物です。

そして白川紺子さんといえば味しそうな食べ物描写が魅力。今回もお祭のお餅や千木箱、二人で食べる焼き芋など、どれも美味しそう。

後宮の烏』でもおいしそうな食べ物や豪奢な着物が描かれていましたね。

著:白川紺子, その他:香魚子
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『花菱夫妻の退魔帖』シリーズ

白川紺子作品感想

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