イラストレーター名司生(なつき)さんの作品集『名司生ART WORKS』は、不思議な世界が美しい水彩で表現された作品集。
また、阿部智里さんの人気ファンタジー『八咫烏シリーズ』の表紙絵のほか、匂いや風まで感じられそうな街の風景など、名司生ワールドの多彩な魅力が楽しめます。
本当に、何度見ても、イラストの世界への没入感がすごいのです。
不思議な世界と小さい人たち

名司生さんの描くイラストには、よく「小さい人たち」がでてきます。
表紙に描かれているコロボックルは、カエルに乗せてもらったり、鳥たちと遊んだり。
草花や木々の中、自然の恵みを収穫しながら生きています。
絵を見ていると、本当にどこかにコロボックルがいるような気がしてしまいます。

狐の面をつけて百鬼夜行の世界に迷い込んだ少年は、狐の嫁入りや妖怪たちに出会います。
また、人間の子どもが魚たちが空を泳ぐ異世界に入り込む絵は、なんとも不思議な気持ちになります。
ああ、こんな世界に私も迷い込みたい…。
匂いや風を感じる絵
名司生さんの作品は、絵の世界に入り込んで、その場所の匂いや風の爽やかささえも感じられるんです。
海の近くの駅のホームにはかもめが飛び、潮風の心地よさと海の匂いがしそうだし、路地裏の民家からは、子どもたちの声が聞こえてきそう。
雨を描いた作品では、雨の匂いや肌につく雨粒のうっとうしさや、不安が感じられる。そういう、記憶の中にある体感を呼び覚まされる感じなんです。
八咫烏シリーズ表紙絵・メインビジュアル
八咫烏シリーズの世界観を象徴するビジュアルイラストの他、第一部の文庫版と、外伝の『烏百花・蛍の章』と『白百合の章』までの表紙イラストを掲載。
バーコードやタイトルがない状態の表紙イラストを(しかも大判で)堪能できます。
しかも、文庫の表紙絵は6枚すべて並べると、連続した一枚のイラストとして成立するんです。(すごい!)
八咫烏シリーズの作者・阿部智里さんによると、名司生さんは作品のイメージを的確にとらえ、いつも制作側の想像を遥かにこえた作品をだしてくるのだとか。
確かに、あの『追憶の烏』の裏表紙には度肝を抜かれましたもの…。
『阿部智里「八咫烏シリーズ」ファンBOOK』では名司生さんの貴重な表紙ラフが掲載されています。
他のパターンの絵も作品の内容とリンクしてるのです。


以前参加した八咫烏トークショーで名司生さんからイラスト集にサインをいただきました!
ありがとうございます。家宝にします。