『虹果て村の秘密』は、ミステリ作家有栖川有栖さんによる子ども向けのミステリ。
子ども向けといっても、名だたる推理作家が本気で書いたのですから、大人が読んでも十分におもしろいのです。
『虹果て村の秘密』あらすじ
ミステリ作家になりたい秀介と、刑事になりたい優希は、小学六年生。夏休みに優希の母のふるさとである「虹果て村」へやってくる。虹果て村に別荘を持つ優希の母・ミサトからの招待だ。
しかし、かんじんのミサトは講演で到着が遅れ、ミサトのいとこ、明日香が2人の面倒をみてくれた。到着早々、ふたりは虹果て村の道路建設に関わる住民たちの争いを目撃する。
やがてそれは事件に発展し、建設反対派の笹本が殺されてしまう。秀介と優希は、周囲の目をかいくぐり、独自で犯人探しをしようとするのだが…
美しい田舎での夏休みと、ひと夏の冒険
「美しい田舎での夏休みと、ひと夏の冒険」このテーマに心躍る人も多いでしょう。私もその一人です。秀介と優希はもちまえの好奇心と頭脳を生かして犯人探しを行います。
ここでは密室トリックやダイイングメッセージ、被害者の言い残した言葉など、子どもにもわかりやすい王道のトリックが使われていますが、ひとつひとつが複雑に絡んでラストに繋がっていきます。
虹はて村の伝承や伝説になぞらえた精密なプロット、前半の何気ないシーンが実は大事なポイントだったりと、大人が読んでも「そうだったのか!」と謎解きのワクワクと心地よい読了感が残ります。