『星と輝き花と咲き』は明治のアイドル、女義太夫・竹本綾之助の半生を描いた時代小説。作者は『吉原手引草』の松井今朝子さんです。
『星と輝き花と咲き』あらすじ
綾之助は、小さい頃から浄瑠璃で天賦の才能を発揮し、その才能を見込んだ世話人・近久によって女浄瑠璃の世界へ見を投じる。
やがて綾之助の浄瑠璃は爆発的な人気を得るようになる。
若い書生たちからアイドルのごとく崇められたり、強引なアプローチを受けるが、綾之助自身は浄瑠璃ひとすじ。
しかし、ある時、贔屓の学生の友人・石井健太と出会い、恋に落ちてしまう…。
明治のアイドル・娘義太夫
「子供の頃から容姿と才能に恵まれ、衝撃的なデビューを果たし、その人気の高さから若い男子学生の追っかけがつくようになる。
しかし、人気絶頂で妊娠発覚、結婚を気に引退するものの、10年後に復活。」
こう書くと、なんだか現代のアイドルのようですが、実はこれ、明治時代の女性芸人・竹本綾之助の半生です。
浄瑠璃を語る女義太夫は当時人気の芸能人でした。
中でも綾之助の人気は絶大で、彼女を目当てに劇場で騒いだり、人力車を追いかける学生たちは「ドウスル連」や「追掛連」と呼ばれていたそうです。
今で言うアイドルオタクですね。
ドラマ『坂の上の雲』でも、書生時代の秋山真之が寄席で娘義太夫を贔屓にしているシーンがありました。
Unknown:本木雅弘, Unknown:渡辺謙, 原名:司馬遼太郎, 脚本:野沢尚, その他:久石譲, その他:サラ・ブライトマン, 出演:本木雅弘, 出演:阿部寛, 出演:香川照之, 出演:菅野美穂
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明治期の描写は臨場感があるし、明治時代のアイドルとも言うべき綾之助の人生も興味深かった。
でもちょっと残念だったのは同じ松井今朝子さんの『吉原手引草』と比べると「艶」が足りないんです。
綾之助は浄瑠璃の修行以外の面倒事は母親お勝と側近の近久が肩代わりしてくれたし、恋人ができてあっさり引退しようとするのも、世間知らずと言えなくもない。
綾之助もそうですが、恋人の石井も楽天的すぎて、読んでいてイライラしました。