千年前も夫への悪口は同じ『蜻蛉日記をご一緒に』田辺聖子

蜻蛉日記イメージ 作家のエッセイ
蜻蛉日記イメージ

田辺聖子さんの古典解説は面白い。
難解なをユーモアあふれる文章で紹介してくれるので、気軽に古典文学を楽しめます。

蜻蛉日記をご一緒に」は、もともと田辺聖子さんの講演会の内容を書籍化したもの。口語体で書かれているのでわかりやすく、するするっと読めてしまします。

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そもそも蜻蛉日記とは

「蜻蛉日記」は、藤原道長の父、兼家の妻の一人だった藤原道綱母による「夫への愚痴と非難を書き綴った日記」です。

兼家は2024年の大河ドラマ『光る君へ』でも、したたかな策略家として描かれていますね。

そんな兼家を夫に持った作者は、愚痴ばっかりこぼしていたせいか、夫から距離をおかれてしまいます。おまけに息子の道綱はマザコンでアホに育ってしまい、心配事や不安がつきません。

兼家の息子には有名な藤原道長など優秀な人が多いのに、道綱は人はいいけれど仕事ができなかったのだとか。(漢字が読めないアホと書かれている文書もあるそうです)

そんな不遇の中、夫への恨みつらみと、息子への愛情と不満を日記に残しています。

今だったら奥さんが夫の愚痴や子供への不満ををSNSに書いているようなものですね。書くことで少しはストレス解消になったのでしょうか。

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田辺聖子さんによる解説

田辺聖子さんの解説によると、愚痴や非難文の中にも面白みがある作品なのだそうです。自然への描写力や、歳を重ねて夫との仲を客観的に捉えられるようになるところなどが興味深いのだとか。

蜻蛉日記の作者(本名は伝わっておらず、通常兼家夫人もしくは道綱母と称します。)は非常に文才に優れていた方だったのです。だから、千年後も読み続けられていたのでしょう。

解説によると、彼女の和歌は掛詞や季節の言葉を幾重にも合わせて作られている巧みなものなのだとか。

そんな歌詠みとして才能があり、プライドの高い蜻蛉夫人。彼女は兼家が自分のところへ通ってくれない切なさを上手く伝えられずにいました。

やっと夫が来ても嫌味っぽい歌をつくったり、すねて相手をしなかったりします。

読んでいくうちに「この人もっと素直になればいいのに…」と思ったりするのですが、パートナーに対してこんな態度にでることは、現代の私たちにも多々あるかと。

そんな蜻蛉日記の作者を田辺聖子さんは面白く、興味深く伝えてくれています。

現代の女性の心情とも共通する部分や、男と女の考え方のちがいなど、やっぱり千年たっても、女というものは変わらないんだなあ。

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