「十角館の殺人」面白かった!久々に夜更かししても読み続けたい本に出会いました。作者・綾辻行人氏のデビュー作にして最高傑作との呼び声が高い傑作ミステリです。
ミステリ小説のネタバレ感想は無粋だと思うので、概略だけ。
『十角館の殺人』あらすじ
3月26日。その日、大学のミステリーサークルに所属する7人が、半年前に未解決の殺人事件があった「角島」へ向かう。
7人はサークルの慣習でお互いを海外のミステリー作家の名で呼び合っていた。
- オルツィ
- カー
- ルルウ
- アガサ
- ポウ
- エラリイ
- ヴァン
その島では半年前に死亡したとされる天才建築家・中村青司の建てた、十角形の建物「十角館」があった。実は中村青司の娘・千織はかつてミステリ研に所属していたが、不慮の事故で死亡。
その後、元ミステリ研の江南のもとへ死んだはずの中村青司から手紙が届く。島と本土、2つの場所での謎解きが始まるが、島ではミステリ研のメンバーたちが次々に殺害され…。
まさに、傑作ミステリ
…この先は、みなさんで確かめてください。
私は結末で電車の中だというのに思わず「ああっ!」と叫んでしまいました。
とんでもないミステリです。「嵐の山荘」(閉ざされた世界で起こる殺人事件)という古典的なシチュエーションなのに、そのトリックが常軌を逸しているというか、想像の範囲を超えているのです。
もうね、常識が通用しないんですよ、館シリーズって。それでいて破綻どころか完璧に構成されている。「こんな考え方ができるのか!」と感動すら覚えます。
的を得た書店ポップ
だいぶ前に書店の文庫コーナーをなにげなく覗いていたら、こんなポップが目に入りました。実に的を得たコメントだと思います。
「ミステリに必要なのは、時代遅れと言われようが何だろうが、名探偵に大邸宅、怪しげな住人達。血みどろの惨劇、不可能で不可解なトリック…絵空事で大いに結構。要はその世界の中で楽しめればいいのさ。」
『十角館の殺人』は、そんな「絵空事」が詰まった作品です。しかし、それはまったく無いと言い切れるでしょうか?
人の心に「闇」の部分がある限り、どこかで偶然、中村青司の館に出会うことがあるかもしれません。
その時、きびすを返してもと来た道を戻るべきか。
それとも怪しい魅力を放つあの館に足が向かってしまうのか…。
十角館の設計図
ミステリマニアの建築士が、犯行現場である奇妙な建物を図面化した『犯行現場の作り方』。
十角館も登場しますが、建築費よりも島にガスや水道を通すためのインフラに一番お金がかかるそうですよ。さすが中村青司、お金持ちですね。
メディアミックス
『十角館の殺人』はこれまで、コミカライズなど他分野で表現されてきました。コミカライズでは小説になかった殺人の理由が深く描かれていたのが印象的でした。
そして2024年、Huluでもドラマ化。ラストの展開を知っていると「実現不可能」と言われる理由がわかるのですが、それをどうやって映像にしているのか気になるところです。