『老妓抄』岡本かの子

芸者・老妓抄 文豪作品
芸者・老妓抄

岡本かの子さんの短編『老妓抄』。作中に書かれたこの歌が好きで、折々に読み返しています。

年々にわが悲しみは深くして いよよ華やぐ命なりけり

著:かの子, 岡本
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岡本かの子とは

岡本かの子さんは芸術家・岡本太郎さんの母。そして、破天荒で壮絶な人生が浮かびます。(夫と恋人との同棲とか)芸術の神にすべてを捧げ、童女のまま大人になってしまったかの子さん。

そんな破天荒な人生を送ったかの子さんの書く文章は、意外にも派手な装飾が感じられませんでした。一言一句、吟味されたことばで物語の世界を構築しているように感じました。

これが岡本かの子のいう「芸術」なのかもしれません。

(ドラマ「TAROの塔」で寺島しのぶさんが演じた岡本かの子がすばらしかった。)

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老妓抄とは

代表作「老妓抄」は、年を経た芸姑が、若い男性の、ひたすらに何かに打ち込む情熱(パッション)を見たいがために、彼の生活のめんどうをみてやります。

そこへ奔放な老妓の養女が関わり、奇妙な関係性がだらだらと続けられます。次第に若い男は情熱を失い、時々は老妓の元を去るのだけれど、関係を完全に絶ち切ってしまうこともできない。

岡本かの子の小説は、読むたびに深くなる気がします。また、自分が年を取って読み返すと、また違った景色がみえてきます。

若い方と話したり、青春映画を見たりすると、なんだかワクワクしますもの。それは自分が成し得なかったこと、見れなかった夢を勝手に託し、彼らの見せてくれる新しい世界を楽しみたいのかもしれません。

老妓のように年を取った今の私が読み返してみると、老妓の気持ちが少しわかる気がします。

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