『大人の教養として知りたい すごすぎる日本のアニメ』岡田斗司夫

ゴジラのイメージ アート・デザイン
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オタクの道を極めし者だけが語れるアニメ解説は深く、そして面白い!

もはやアニメは一部のオタクだけのものではなく、社会に影響を与えるコンテンツになりつつあります。

そんなアニメを教養としてとらえたのが『大人の教養として知りたい すごすぎる日本のアニメ』です。

作者は日本のオタク四天王(その内の一人は庵野秀明)と言われる岡田斗司夫が大人の教養としてのアニメを解説しています。

著:岡田 斗司夫
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『シン・ゴジラ』から、『この世界の片隅』にまで

この本では、誰でも知っている有名なアニメを、ストーリーの深層にある心理的、社会的要因などから読み解いていきます。

・シン・ゴジラ
・君の名は
・風の谷のナウシカ
・機動戦士ガンダム
この世界の片隅に

どの項目も面白く、ストーリーや登場人物のセリフの裏側にそんな意味があったのか…。と驚かされるものばかり。特に印象深かった『この世界の片隅に』と『シン・ゴジラ』について感想を書いてみました。

この世界の片隅に、そのすごさの秘密

私は当初、漫画『この世界の片隅に』のアニメ化に懐疑的でした。原作が完璧なのに、なぜいまさらアニメにするのだろうと。

しかし、映画を見たらそんな考えは吹き飛びました。号泣もしたし、それよりも「なんだ、これ?」と思ったのです。

受けた衝撃の種類がわからない。そんな感じでした。その「なんだかわからないけれど、すごいもの」の正体を岡田斗司夫さんが解説してくれました。

ほんとうにすごいものを見たら、人はなかなか言葉にできなくなります。

なるほど、こういうことだったのか。

動きのリアルさ
「なんだかわからないけれど、すごいもの」の正体のひとつが「動き」でした。『この世界の片隅に』では普通のアニメにくらべて動きが丁寧で、ゆったりとしている。

これはショートレンジという細かい動きをたくさん加えてつくる技法なのだそうで、これが、わたしたち観客を昭和19~20年の呉に連れていく装置のひとつとなっているのでしょう。

『シン・ゴジラ』はアニメである。

なぜなら、映像のすべてが庵野秀明の意図する演出によってコントロールされているから

そこには役者の「演技」は存在せず、登場人物は演出のプランに合わせた「表現」によって迫力のある映像がつくられる。

会議シーンが面白いのは登場人物たちの喜怒哀楽が少なく、無表情での演技にリアリティを感じるから、なんだそう。

確かに、普通の日本人は喜怒哀楽がはっきりしてないから、普通の映画や舞台の激しい演技に引いてしまうことがあります。

また、ゴジラによって破壊される建物の倒壊ひとつとっても単にCGの演算表現ではなく、そこに庵野秀明の表現が加わっています。

だから、見ている方も心地よくかっこいい映像に仕上がっている。リアルを超えた虚構を作り出しているんですね。

出演:長谷川博己, 出演:竹野内豊, 出演:石原さとみ, 出演:高良健吾, 出演:松尾諭, 出演:市川実日子, 出演:余貴美子, 出演:國村隼, 出演:平泉成, 出演:柄本明, 出演:大杉漣, Writer:庵野秀明, 監督:庵野秀明(総監督), 監督:樋口真嗣
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シン・ゴジラに関しては巷のオタクの方々が細部にまで(むしろ細部にこそ)こだわった様々な見解を発表してくれていて、そういうツイートを読むのが好きでした。

しかし、それ以上に岡田さんのシン・ゴジラへの熱意は本当にすごい。そして監督の庵野秀明という人物をよく知っているからこその見解が深いのです。

岡田斗司夫ゼミ#137「シン・ゴジラ学、入門編! シン・ゴジラを絶対に見るべき5つの理由と、実はこっそりダメな5つの部分」(Amazon prime Video)

『シン・ゴジラ』は原子力へのメタファー(暗喩)

『シン・ゴジラ』には表層に現れるもの以外に、さまざまな暗喩が存在します。その代表的なものが「震災時の福島第一原発事故」と「原子爆弾」です。

シン・ゴジラは放射性物質で人間を攻撃する。それに人類が立ち向かい勝利する。それは福島第一原発事故で当時の政府ができなかったことへの問いかけである、と岡田さんは読み解きます。

実際、ツイッター上でもシン・ゴジラを見て「未曾有の危機に立ち向かって乗り越える様に希望を見出した」と被災者の方つぶやきを見かけました。

シン・ゴジラは人智を超えた危機を乗り越えるという、救いの面もあるのかもしれません。

また、主人公・矢口蘭堂の友人赤坂が「(ゴジラ攻撃に)米に核を撃たせろ」と言うシーンがあります。

それは核を撃ったアメリカと世界の同情を引き出し、復興への足がかりにするべきだという意味で、広島・長崎の原爆投下後のアメリカの対応など歴史的な背景があるのだと。

そう考えると、『シン・ゴジラ』というの物語は、原子力で傷ついた経験を持つ日本人にしか作れないし、理解できないドラマなのかもしれません。

アメリカのドラマや映画で描かれる「核」は荒唐無稽なものばかりですから。

ドラマや映画でみるアメリカの核知識の粗さ

実際、アメリカの核に対する知識は薄く、『インディージョーンズクリスタル・スカルの王国』では原子爆弾実験場で冷蔵庫の中に避難した主人公インディーが爆発後もピンピンしています。

また、ドラマ『ハワイ・ファイブ・オー5』では核弾頭を海に落として「ワイキキは無事だ!イエー!」とか言ってます。

もちろん、人によるのでしょうが一般的なアメリカ人にとって核は「ちょっと強い武器」くらいの認識なのかもしれません。

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