『本を読む人のための書体入門』 正木 香子
書体(フォント)が好きな人、水曜どうでしょう好きの人必見の書体本。『本を読む人のための書体入門 (星海社新書)』は、を読むだけでなく、書体(フォント)そのものが楽しめる本です。
たくさんの書体を認識することで、はじめて「ああ、こんなに書体って違うのか」と実感できます。
水曜どうでしょうと書体
大泉洋が有名になるきっかけとなったローカル番組「水曜どうでしょう」。
今まで「水曜どうでしょう」の解説本はいろいろ出ています。が、書体に特化して「水曜どうでしょう」をとらえた本は、初めてで新鮮でした。
読んでみると、なるほど。確かに「水曜どうでしょう」ほど書体に特化した番組はありませんね。
通常のバラエティのテロップだと、ゴシック体で、枠線、グラデーションがついた強い書体が多いのですが、「水曜どうでしょう」は少し違う。力強さよりも、書体の面白さを追求しています。
「腹を割って話そう」「シカでした。」など、番組の中で数々の名言(迷言)が生まれるのも魅力の一つです。それを、D陣たちがなんとも絶妙な書体で表していて、グッズ化されるなど、ファンにも人気が高い。
なかでも特徴的なのが「原付日本列島制覇」で使われた大髭(おおひげ)書体。
先年に大泉洋さんが出演した大河ドラマ「龍馬伝」の中で、語り部・岩崎弥太郎(香川照之)さんの語り口調を、大泉さんと藤村Dがマネたセリフや「いざ鎌倉」などがどーんと使われています。
書体そのものが「水曜どうでしょう」という番組の魅力の一つなんですね。書体に注目して「水曜どうでしょう」を楽しむのもいいかもしれません。
ホラー書体のはじまり
いまでこそ、ホラーな書体として有名な「古印体」。しかし、30年ほど前までは、ホラーにかぎらず、普通に使われていました。(今でもドラゴンボールのタイトルロゴに小さく使われていたりします。)
きっかけはホラードラマ「世にも奇妙な物語」のタイトルに使われたからなのだとか。
使われ方によって、書体のイメージも変化していくんですね。