失恋した女性が立ち直り、成長していく姿と、風変わりな周囲の人々の物語。
『太陽のパスタ、豆のスープ』あらすじ
結婚二ヶ月前で突然婚約破棄された「あすわ」。
人生のどん底を経験し、目の前が真っ暗になったあすわは、風変わりなおば・ロッカさんに、やりたいこと、楽しそうなこと、ほしい物を「ドリフターズ・リスト」として書きだすことを勧められます。
ドリフターズリスト
「ドリフターズ」って「漂流者」って意味なんですね。どうもカトちゃんケンちゃんのイメージが強いけれど。
最初は嫌々リストを書き、リストの内容を実践していくあすわ。うち、今まで自分が見えなかったもの、見ようとしなかったものがなんなのか、そしてそれから自分は何をしたいのか。
そんな風に考えるようになります。
そんな時、ロッカさんに紹介された青空マーケットで同僚の郁ちゃんのが豆のスープの店を出しているのに出会います。
同僚の意外な顔に驚きつつ、郁ちゃんの豆料理に「なにか」のヒントを得たあすわ。自分にとっての大切な「豆」を探すことにします。
「リストにやりたいことを書く」っていうのは、頭の中にあったものをいっぺん出して整理できるので、仕事でも、プライベートでも使っています。
あすわもリストを書いていくうちに、だんだんと内容が具体的になっていきます。そのたび、生活の様子が変わっていくんですね。
毎日を、ていねいに
「毎日鍋を使う」とリストに書き入れ、料理をつくることにしたあすわ。それは恋愛成就の奇跡なんかおこらない、ごく普通の料理。
でも、毎日食事をつくるのってすごく大変ですごく大事なことだと思う。で、たいていロッカさんがやってきてご相伴に預かるんだよな。
あすわのお母さんの「毎日のごはんがあなたを助ける」って言葉が深い。
主人公あすわは、突然起こった不幸に対処できず、いろいろとあがきながら「自分にはなにも持っていなかったし、何もなかった」と気づきます。
でも、それに気づけるってすごいことなんじゃないかな。たいがいの場合、そんなことを考えずに流されていった方がラクなんですから。
風変わりでいつもひょうひょうとしているロッカさん。どこか「かもめ食堂」など荻上直子の映画に出てくる、もたいまさこさんのような雰囲気。こんな人になりたいなあ。