『金魚生活』は中国の一般女性の恋と家族関係を描いた小説です。主人公が日本を訪れた際に感じたカルチャーギャップを交えながら描かれています。
表紙の写真は蜷川実花さん。
「金魚生活」 あらすじ
主人公の玉玲はレストランで働いている。仕事は金魚の世話。中国では金魚は「ジンユ」、「金余」と発音が同じで、縁起のものとして扱われている。
夫を亡くした寂しさから不眠症に陥った玉玲。そんな彼女を救ったのは店から譲り受けた金魚・黒宝と、不器用で武骨なむかしなじみの周彬だった。
周彬の愛情にとまどいながらも彼と同棲することになる玉玲。
やがて玉玲は日本に住む娘・珊々の出産の手伝いで日本へ。言葉も通じず、物価の高い日本の生活にとまどう日々を送る。
そんなとき、娘から「日本で再婚して、日本に住まないか」と提案される。周彬のことを娘に話せないまま、日本人と見合いをすることに。
やぼったい同棲相手との生活と、日本で再婚して娘や孫の近くで暮らす生活。その二つで思い悩む玉玲は…。
普通の中国の人々
あまり知ることのない、中国の人々の生活や心情が描かれていて興味深かったです。
「無問題(モウマンタイ)」という言葉は香港の広東語なので、中国東北地方の人とは発音が違うといのも初めて知りました。
また、「生の魚(刺身)をたべさせられる」のは、日本ではおもてなしですが、中国の人にとってはお腹をこわす料理として認識されているのだとか。
楊逸さんの食にまつわるエッセイ『おいしい中国―「酸甜苦辣」の大陸』でも、中国の食について詳しく描写されています。
当たり前ですが、中国料理店で食べるようなものではなく、普通の料理を食べているんですよね。
生活習慣の違いはあったけれど、女性をとりまく恋や打算、悩みなどは、日本も中国もあまり違いはありませんでした。