乙女の本棚シリーズ『待つ』は太宰治の小説を今井キラさんがイラスト化。美麗で儚げな少女が「待つ」のは一体誰なのでしょう…?
『待つ』あらすじ
毎日、駅のベンチに佇んで「誰か」を待つ少女。彼女自身、待ち人が誰かわからない。
もし、その相手が現れた時、自分がどうなってしまうのだろう、そんな期待と恐怖を胸に描きながら待ちわびているのだった。
戦争の影が迫る中、少女は何かしなければと思う一方で、空想の相手を待ち続ける日々を送っている。
太宰治の乙女小説
少女の心の機微の表現がすごい。もしかしたら、太宰治の中には乙女がいるんじゃないでしょうか。
「見知らぬ誰かを待つ」というなんとも不思議な物語ですが、少女の頃というのは、こうした妄想というか、衝動みたいな思いを誰しもが持っていると思うのです。
言葉にできないような、そんな繊細で微妙な少女の心を、的確な言葉を当てて文章化されている。
そしてそれを、男である太宰治が描ききっているのがすごいことだと思います。