『海神の娘』は『後宮の烏』のスピンオフ作品。『後宮の烏』の世界の南方、島国、花勒・花陀・雨果・沙文の国主と海神の娘との婚姻譚。
『後宮の烏』に登場した国々の話が読みたかった私にとって待望の物語です!
『海神の娘』あらすじ
『海神の娘』は海神によって選ばれ巫女王のもとで暮らし、時が経てば国主の妻となる。
花勒の王に嫁いだ蘭は、官吏の娘で前王に粛清され、奴隷に落とされたため、顔に黥面と呼ばれる罪人の入れ墨があった。
雨果に嫁いだ瑤は、島々には珍しい銀髪をしていた。
花陀の花嫁・嬋は暴君を斬り殺し、その場で次の王を選ぶ。王の幼なじみだった琳と惠は、入れ替わるように互いの想い人とは逆の相手に嫁ぐことになる。
海神に選ばれる娘
『後宮の烏』では烏連娘娘に、『海神の娘』では海神に、それぞれ娘たちが選ばれることで、彼女たちは特殊能力を与えられ、過酷な運命に巻き込まれます。
しかし、海神の加護を受けるからといって、すべて上手くいくわけではありません。人を呪う海神の娘や、妻を惨殺する暴君なども存在します。
海神の気まぐれで選ばれたとしても、そこに根を張り、自らが苦心して人生を切り開かないといけないのです。そして時に、理不尽な託宣に反旗を翻すことも…。
海神と巫女王
花勒や花陀は霄国の文化に近く、雨果と沙文は古い文身(いれずみ)文化が残っているなど『後宮の烏』とまた違った風俗や文化がみられて興味深いです。
娘たちを見守り、力を授ける巫女王・霊子。彼女は時を経てもなお、少女のような容貌をしています。それは、彼女と海神の間に因縁があるようなのですが…。