2022年にアニメ化された『後宮の烏』。架空の世界を舞台にした中華ファンタジー。アニメが素晴らしかったので、原作も読んでみました。
『後宮の烏』あらすじ
後宮の奥・夜明宮に住む烏妃は、妃でありながら皇帝の夜伽をせず、不思議な術を使う特別な存在。新たに皇帝の位についた高峻は、夜更けにある頼み事をするため、烏妃のもとを訪れる。
そこに現れたのは、黒い衣をまとった少女だった。
翡翠の耳飾りの持ち主を探すことで、縁をつないだ烏妃の寿雪と高峻。しかし、烏妃と皇帝は互いに相容れない存在であるらしい。
また、寿雪には、人に知られたくない重要な秘密があった。
唯一無二の世界観と美しい描写
最近のアニメやマンガは、設定が使い回しの異世界転生チートものばかり。いささか食傷気味です。
もっと「十二国記」や「八咫烏シリーズ」のような、作り込まれた設定がほしい。そして「精霊の守り人」のような、歴史や民俗学まで感じられる異世界がみたい。
そんな時に出会った『後宮の烏』は、久しぶりに心惹かれる中華ファンタジーでした。
烏漣娘娘(うれんにゃんにゃん)という女神を祀る烏妃という存在、四角い海のある世界、不思議な風習。
中国(唐時代?)の文化をベースにしつつ、新しい世界観と、それを支える美しい描写が物語をより魅力的にしています。
『後宮の烏』の詳細な設定
小説では、寿雪の細かい出自や、先代の烏妃・麗嬢と寿雪との絆、烏妃に関する謎がより深く味わえました。
文章の節々に先代烏妃の麗嬢が、寿雪を慈しんできたことが伝わります。
だからこそアニメ最終話での冬官・薛魚泳の行為の意味と、高峻の言葉が意味をなしてくんですね。
物語はこれから、烏妃や烏漣娘娘に関する秘密が明かされていきそうです。人々が烏漣娘娘を祀らなくなった事は、今後の展開にどう関わっていくのでしょうか。先を読むのが楽しみです。