『向田邦子の手料理』は、向田邦子さんレシピ本。レシピのほか、料理へのこだわりや食器の話など、食にまつわるエッセイも掲載。料理監修は妹の向田和子さん。
1989年発売の本なのに、未だに売れ続けています。
向田邦子のレシピ
食いしん坊で料理上手だった向田邦子さん。食道楽が講じて妹さんと和食屋を経営したり、店の味を覚えるのに連れをそっちのけで集中したり。
そんな彼女のレシピは本格的な料理から、簡単にできるお惣菜まで多種多様なのです。
わかめの炒め物
フライパンを熱してわかめを炒め、そこへ醤油を少々。油はサラダ油とごま油。最後に鰹節を。
エッセイにも登場し、俳優のいしだあゆみさんにも伝授したレシピです。油が跳ねるので、やけどに注意とのこと。
実際に作ってみました。ごま油を使ったほうが風味が良いです。
にんじんご飯
原田ひ香さんの『図書館のお夜食』にも登場。作家にまつわる食事をだすカフェの賄いとして登場します。
食にまつわるエッセイ
向田邦子さんのエッセイにはよく料理が登場します。子供の頃の思い出の味であるみりん干しやカレー、祖母が作る卵の煮込みなど。
思い出と相まって、これがまた美味しそうなんです。そして文章がかっこいい。
昔の女は、ひとつの卵をどう料るか、そんなところに女の才覚があったのかも知れない
夜中の薔薇『麻布の卵』より
食に関する文章が鋭く、そしてセンスがいい。レシピだけでなく言葉でも料理が楽しめる一冊。