「ズルい言葉」とは、責任の有無をあいまいにできる言葉のこと。
酒井順子さんは社会現象にもなった「負け犬の遠吠え」を書かれた方なんですね。そんな鋭い感性をもつ酒井順子さんの日常の言葉にまつわるエッセイ「ズルい言葉」。
読んでいると「確かに!」と、ついうなづいてしまいうものもあれば、ちょっと毒を含んだ文章も。
ポチップ
タクシー運転手にあやまる
私が一番共感したのは、近い距離でタクシーを利用するとき「近くで申し訳ないんですけど」という言葉。今の若い人はそんなことを言わないというのも目からウロコでした。
それは若い頃、タクシーに乗るとよく運転手に怒られた経験があるからです。
近い距離だったり、おつりが面倒な1万円をだすと「ふざけんな!若造が!」と怒鳴つけられたことも点。そのため、たまにタクシーを使うと運転手さんに怒られないよう、ものすごく気をつかいます。
今ではそうしたタクシー運転手も少なくなってきたようです。
感情や責任をあいまいにする
それと、感情や責任をあいまいにするため「嫌いじゃない」とか「ある意味」、「なかなか」とかはついつい使ってしまいます。
以前読んだ『オトナ語の謎』でも、責任をあいまいにしたり、難しい言葉で煙に巻くビジネス語が紹介されています。
なので、ズルい言葉を使いこなすことがオトナになる、ということなのかもしれません。
そういう日常的な言葉にするどいメスを入れてバシバシとつっこんでいく酒井さんの文章は「なかなか」面白かったです。
「負け犬の遠吠え」は読んだことが無いのですが、益田ミリさんの「すーちゃん」にも登場します。「このひと、負け犬っていっても全然勝ち犬に負けてないじゃん。」と主人公に言わせています。