瀬尾まいこさんの『強運の持ち主』は、どこにでもいる街の占い師と、彼女の元を訪れる人々のちょっと変わったお客さんの物語。
『強運の持ち主』あらすじ
ルイーズ吉田は占い師。実はいいかげんな占いだけど、よく当たると評判。
営業時代に培った記憶力と直感で相談者の悩みを聞き、適当なアドバイスを送るだけで客は満足して帰ってゆく。
ルイーズにはあらゆる占いで「強運の持ち主」とされる恋人・通彦がいる。
彼女はあらゆる手段を使って彼を手に入れたが、彼自身は「強運の持ち主」らしからぬパッとしない役所勤めの男性だ。
そんなルイーズの元には、時おりちょっと変わった依頼もあり…。
個性豊かな登場人物
「気になる人」と話すきっかけについて相談に来る女子高生。
お父さんとお母さん、どちらにするか占い決めて欲しいという小学生。実はただの離婚問題ではなく、そこには切なくて笑える事情があった。
人の「おしまい」が見えてしまう大学生。
その「能力」を生かすためルイーズの元に押しかけ弟子として居座ってしまう。
彼に「何かおしまいが見える」を指摘され、(いちおう占い師なのに)あせるルイーズ。もしかして通彦との「おしまい」ではないかと心配し、いろいろと策を講じるのだが…。
背中を押してもらえる物語
昔、占い師がいる喫茶店がありました。そこでは、コーヒーを飲みながら占い師が相談を受けていたのです。
私もたまに利用していましたが、落ち込んだ時、だれかに話を聞いてもらって、背中を押してもらう。それだけで、ちょっとだけ勇気がでるのです。
それは占いでも相談(最近ではAIに)でも、結局は同じことなのかもしれない。
人って結局、自分以外の誰かに話を聞いてもらえて、「大丈夫だよ」って言ってもらいたいんですね。それだけでほんの少し元気になれる。
「強運の持ち主」は、誰かに「大丈夫だよ」と言ってもらえるような、あったかい物語でした。
瀬尾まいこ作品感想
- 『幸福な食卓』…普通じゃない。でもすてきな家族
- 『優しい音楽』…不倫相手の子どもを預かることになった女性
- 『天国はまだ遠く』…自殺志願の女の子が自然と美味しいもので癒やされる
- 『春、戻る』…突然、「兄」と名乗る年下の男性が現れる
- 『おしまいのデート』…孫と祖父、教師と生徒、偶然の出会いと別れ
- 『図書館の神様』…やる気のない教師と文芸部の少年
- 『そして、バトンは渡された』…何人もの「親」をもつ女の子の話
- 『夜明けのすべて』…PMS、パニック障害に苦しむ二人と、それを見守る大人たち
- 『見えない誰かと』…作者の教師時代の思い出や家族のことを綴ったエッセイ
- 『そんな時は書店にどうぞ』…書店や出版社の人々との交流をユニークに綴ったエッセイ
- 『強運の持ち主』…適当な占い師と個性豊かなお客さんたち
