しゃばけシリーズ11『ひなこまち』畠中恵

妖怪 ファンタジー

『ひなこまち』では。夢を食べるあやかし・貘が噺家になったり、効き目はすごいが副作用もすごい河童の秘薬など、次々と事件が巻き起こります。

ろくでなしの船箪笥

若だんなの使うこたつの脚に「助けてください」と書かれた木札が紛れていた。助けてあげたいと思うものの、助ける相手の素性もわからない。

ただ木札には「5月10日までに」と期限が区切られていたので、それがなにかの手がかりとらしい。

一方で若だんなは友の七之助から、助けを求められます。

本家の隠居が形見にと七之助に遺した船箪笥の引き出しが開かない。中に高級品が入っていると勘ぐった親戚筋から横槍がはいり、一旦は親戚の江戸支店預かりとなったものの、そこでは次々と怪異が…。

若だんなはひとつ困りごとが持ち込まれるたびに、それを解決すれば木札の主にたどりつけるのではと考えます。

ばくのふだ

近所の商家で落語寄席ができ、若だんなは兄やたちにたのんで連れてってもらうことに。

ところが噺の途中で噺家が武家に切りつけられる騒ぎがおきる。実は噺家の場久は悪夢を食べる獏で、食べた悪夢をネタにして話したために狙われたらしい。

場久に泣きつかれた若だんなは、悪夢の主を探すため、妖たちに協力してもらいます。

夢を食べる獏が、実際の悪夢をネタにするのですから、そりやあ怖いでしょうね。

ひなこまち

江戸の器量よしで番付をつくり、優勝者の顔を手本にした雛人形を大名家に納め、モデルの娘は大名にお目通りがかなうという。

玉の輿のチャンスに、娘たちや親たちが騒ぎ出し、江戸の町では雛小町の噂で持ちきり。当然、見目をよくするきれいな古着市場も賑わうけれど、そこにはなにやら犯罪の匂いが…。

今回は若だんなが臥せっているので、仁吉と屏風のぞきが相棒となって活躍します。

布団から動けなくてもさすが若だんな、仁吉たちのヒントだけで、悪人たちのアジトをつきとめます。

さくらがり

顔見知りの僧侶・寛朝さまの寺に花見にきた若だんなと妖怪たち。そこへ関東の河童の大親分、禰々子が訪れ、以前、仲間を助けたお礼にと、河童の秘薬をもってくる。

河童の薬なので惚れ薬や痛みが五倍になる傷薬など、一風変わったものばかり。

それを聞きつけたとある武士が、妻の気持ちを確かめたいと、惚れ薬を譲って欲しいといってきて…。

以前『ゆんでめて』でも花見をしたのですが、それは神様の手違いで無かったことになっているので、若だんなは覚えていないのです。

でも、妖かしたちは事情をわかっているみたいですね。今後、選ばなかった道が現世にどう関わってくるのでしょうか。

河童の秘薬

禰々子からもらった河童の薬は、結局「困難が伴うが幸せになれる薬」をお武家に事情を話して渡すことになったのですが、そこでまた若だんなは奇妙な出来事に巻き込まれます。

お武家の妻・雪柳が訪ねてきたり、迷子があわられたり、どうも町中が落ち着かない。どうやら夢の中にいることがわかり、獏の力で佐助を逃し、ことの成り行きを見守ることになったのですが…

雪柳と子どもの危機に「ここで逃げたら男じゃないもの」と、逃げ出さず助けようとする若だんな、またひとまわり成長しましたね。

人を幸せにするだけじゃなく、若だんなにも幸せになってほしい。それには妖たちをうけいれてくれる奥さんが必要なのですが…。

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