『古本食堂 新装開店』では、珊瑚さんには彼氏ができ、美希喜ちゃんも進む道が決まって順風満帆かと思いきや、さまざまな問題が二人を襲います。
『古本食堂 新装開店』あらすじ
新たにカフェスペースを設けることになった鷹島古書店。しかし、珊瑚さんと美希喜ちゃんの意見が食い違ってしまう。(森瑤子『イヤリング』と川端康成『掌の小説』と日本で一番古いお弁当屋さん)
二人は折衷案を見つけて店の改装を行うと、壁の下からは亡き兄、滋郎の愛する人への言葉が見つかった。(天麩羅いもやと侯孝賢監督『珈琲時光』)
本と珈琲のセット販売を始めると、知り合いの作家志望・奏人が脚本家志望の女性に本を勧めてほしいとやってくる(『カドカワフィルムストーリー Wの悲劇』と豊前うどん)
認知症の母のために「クラス全員のお弁当を撮影した雑誌」を探している女性。タイトルもわからず探すのは難しいかと思われたが…。(昭和五十六年の『暮しの手帖』とメナムのほとり)
珊瑚さんは美希喜ちゃんの仕事のことで言い争いに。その後、珊瑚さんが突然北海道に帰ってしまい…。(伊丹十三『「お葬式」日記』『「マルサの女」日記』と「なかや」の鰻)
珊瑚さん不在のまま店を切り盛りする美希喜ちゃん。果たして珊瑚さんは帰ってくるのか。二人が出した結論は…。( 「京都『木津川』のおひるご飯」と中華料理店のカレー)
本と美味しいもの
前作に引き続き、『古本食堂 新装開店』でも神保町周辺の美味しいものがたくさん登場します。神保町って、カレーや中華、ロシア料理、アジア料理まで多種多様な国の味が楽しめる街なんですよね。
ちなみに私は「スヰートポーヅ」の餃子が好きでした。
物語に登場する映画『珈琲時光』は以前、見たけれど天ぷら屋さんのシーンは覚えてなので見返してみよう。
そして、鷹島古書店の「珈琲と本」のセットもすてき。二人が客の悩みや状況に合わせて本をセレクトしてくれるんです。作中に出てくる本も文豪作品から児童書、シナリオブックまで多種多様で面白い。
これは通いたくなるなあ。珈琲を飲みながら、みんなで本の話ができたら最高ですね。
隣のブックカフェの美波さんも「二人には本を選ぶ才能がある」といっているし、実はなかなかできることじゃないんでしょうね。
歳の離れた友情
70代の珊瑚さんと20代の美希喜ちゃん。年は離れているけど、本好きという共通点もありうまくやっています。人とある程度の距離をとっていた美希喜ちゃんも、珊瑚さんとなら自分の気持ちを正直に伝えられる。こんな関係、いいですね。
珊瑚さん、すてきな女性ですねえ。おっとりとしているかと思いきや、突然、思い切った行動にでることもあるし、すてきな彼氏もいる。こんな風に年をとりたいものです。
前作『古本食堂』はこちら。