『声』は、エッセイ『国道沿いで、だいじょうぶ100回』の話を元に書かれた短編小説。
理不尽で奇想天外なクレームに対処する病院職員。彼女はどんな気持ちで回答を書いているのか。
エッセイの裏側に存在する「人」への視点が優しく、そして面白く描かれています。
小説も面白い岸田奈美
ほんと、すいませんでした!
「エッセイ作家が、面白い小説を書けるのか?」と勝手な偏見を持っていた自分を殴ってやりたい。
岸田奈美は小説もおもしろい!(声を大にして言いたい)
『声』は、病院に寄せられた理不尽なクレーム(患者さまの声)の回答を命じられた、看護助手の女性が主人公。
夢見ていた職業についたのに、周りからは必要とされず、名前も呼ばれない。
そんな絶望の中、ヤケになって返答を書き綴っていくんですが…。
面白さと苦しさと少しの救いと
エッセイでも魅せる岸田奈美さんの例え表現は小説でも健在。
理不尽で奇想天外なクレームをこう書いています。
叱咤激励から激励だけを抜いて、隠し味に怨念と鬱憤を少々。理不尽でジャっと炒めて皿に出したような
きっとこのクレームは強火で炒めたんだろうな…と想像できる、秀逸な表現。
主人公は絶望の底にいて、あがき、苦しみながらも、作業を続けるうちに、ほんの少しだけ希望を見出します。
ラストは「え?もっと続きが読みたい…」で終わっているけれど、きっとここで終わるのがいいんだろうな。
元ネタになった「病院で骨抜きのサバを出されて怒り狂う人よ」はこちら。面白いのでぜひこちらも。

