『早番にまわしとけ』は『遅番にやらせとけ』に次ぐ書店小説です。
「遅番」が男子店員の物語でしたが、「早番」は女子が主人公です。書店のリアルな業務とともに書店員の恋愛模様や成長が描かれます。
閉店危機の書店、ミス連発で怒られる日々、個性豊かでめんどくさい書店員たち。うまく行かないことのほうが多い物語なのですが、読み終わるとなぜか、幸せな読了感を感じました。

『 早番にまわしとけ 書店員の覚醒』あらすじ
由佳子は「さかえブックス」の店長だが、もともと系列会社のアパレル業務担当。書店員の経験がないため、今日もアルバイトの幸田凜に怒られる。
書店の長老・森さんも飄々としていて助けてくれない。プライベートでも仲がいい友人の光太郎に10年近くも片思いしている。
そんな崖っぷち書店の由佳子が、売上を上げて本社に戻るため、あの手この手のアイデアを練るものの、ついに書店は閉店の危機に。
おまけに天敵の幸田凜が光太郎のことを好きになってしまうし、由佳子は別の男性から告白され…、どうなる書店、どうする恋愛!
崖っぷち店長と崖っぷち書店
由佳子は最初、書店の仕事にもあまり熱心ではありません。経験豊富なアルバイトに怒られたり、ミスをしたりと仕事も憂鬱なことばかり。
だけど、書店の仕事や書店員たちの情熱に触れて、由佳子自身も少しずつ成長していきます。
しかし慣れてきても、世の中そううまくいきません。
転売ヤーをやり込めて、本当に漫画がほしい子どもたちに売ろうとおもったら、子どもの図書カードの残高が20円!いいカッコをしたのに、またアルバイトの幸田に怒られてしまう。
このエピソード、大好きです。
他にも、数十年間立ち読みして、一冊も本を買わないおじいちゃんとか、本の予約を取りに来ない客とか、書店の問題やトラブルもリアルに描かれています。
予約した本をそのまま取りに来ないと書店は売り時を逃してしまうんですね。私も予約する時は気をつけようと思います。
現在、リアルの書店はネットに押されているのが現状ですが、書店の役割って本を売るだけでは無いんですよね。
