しゃばけシリーズの作者・畠中恵さんのお江戸ファンタジー『つくもがみ貸します』
深川で損料屋(今で言うレンタルショップ)を営む、お紅と清二の姉弟。それと、店に集まってきた「つくもがみ」たちのものがたり。
『つくもがみ貸します』あらすじ
つくもがみとは、百年を経て大切にされた器物に魂が宿り妖力をもった妖(あやかし)のこと。
人間とつくもがみはそれぞれ相手の存在を認識しながらも一線を越える事はない。つくもがみたちは仲間とのおしゃべりを2人に聞かれても知らん顔を決め込んでいる。
お紅と清二も最初は気味悪がっていたのだが、物を貸さなければ、小さな店では食べていけない。
つくもがみたちも、仲間と引き離されてはつまらないのでしぶしぶと貸し出される。
そんなわけで、つくもがみと人間との奇妙な共同生活が続いてゆくのだが、つくもがみたちは貸し出された先の話を聞き込んでは店で仲間に聞かせるため、それが時に様々な事件の糸口になってゆく。
特にお紅は「蘇芳」という銘の香炉を探していて、どうやら「蘇芳」はお紅の過去に絡んでいるらしいのだが…
個性的な「つくもがみ」たち
同じく妖(あやかし)が登場する畠中さんのしゃばけシリーズとはひと味児がいます。こちらのつくもがみたちは、人には決して口を利かないという特徴(?)があるのです。
彼らは、貸し出した先で他のつくもがみたちに話を聞いたり、人の噂を拾ってきます。それをお紅と清二にわざときかせるんですね。
お互いに利害が一致しているので、不思議なつくもがみビジネスが成り立っています。
そして、畠中さんの小説は、いつも挿絵が凝っています。
表のカバーはつくもがみだけれど、カバーをはずした本体には、つくもがみたちの本来の姿(道具)が描かれているんです。
おそらく、お紅と清二に怒られて、元の姿に戻ったのでしょうね。
こちらはコミックス版。アニメ化もされています。