『ときどき旅に出るカフェ』の続編『それでも旅に出るカフェ』。店主の円(まどか)が旅先で見つけたスイーツが魅力のカフェです。
今回はコロナ禍でのカフェ・ルーズの様子が描かれます。
また、ロシアや東欧、中国から日本の高知まで、さまざまな国と地域の珍しくて美味しいスイーツが紹介されています。
表紙の写真はスロベニア地域で食べられているブレッドケーキ。クリームが二層に別れていていて、美しくて、軽い口当たりのケーキです。
『それでも旅に出るカフェ』あらすじ
瑛子は、元同僚の円が営む「カフェ・ルーズ」に通うことで、日々の疲れや孤独を癒していた。
円の作る料理やスイーツは、世界各国の味を取り入れたもので、訪れる人々に旅気分を味わわせてくれるのだ。
しかし、コロナ禍によってカフェ・ルーズは閉店したまま。
円を心配するものの、連絡先を知らない瑛子。あるお菓子がきっかけで、円がキッチンカーを出していることを知り、会いに行くことに。
生きづらさを感じる女性たち
『それでも旅に出るカフェ』は、美味しい料理やスイーツだけじゃないんです。ジェンダー差別や障害者差別など、生きづらさを感じる女性たちが登場します。
円や瑛子自身も、家族から距離を置いています。でも、生きづらかったらそこから逃げていい。
生まれた場所で根付かなくても、遠くにいって根付くお菓子がある
カステラもバームクーヘンも、現地ではあまり食べられていないんですって。だから、自分が根付ける場所に行くことも大事なんです。
マンスプレイニング
マンスプレイニングという言葉、この本で初めて知りました。
男性が女性に対して、相手が求めていないにも関わらず、上から目線で説明したり、知識をひけらかしたりする行為
作中、有名パティシエという地位を利用して、見下し、説教をしたり、お気に入りの女性を侍らせたりするクソ…もとい、「植物だったらゲノム解析されている」男性が登場します。
でも、嫌がらせをうけて傷ついたとても、円さんも負けていません。
旅にでて、戦略的一時撤退をして、心が回復したらまた戻る。
それでいいんじゃないかな。
食べることは、世界とつながること
カフェ・ルーズのコンセプトは旅を感じられるカフェ。そのためカフェには様々な土地の料理やお菓子が登場します。
お菓子や料理を食べることで、世界と繋がれるんですね。けれどそこには痛みもあります。ロシアやウクライナのお菓子「鳥のミルク」を読むと、その先には戦争がある。
イランなど中東で食べられているひよこ豆のコロッケ(ファラフェル)は、現在の紛争に思いが及びます。
その土地の料理を食べることは、世界とを身近に感じることなのかもしれません。
近藤史恵作品感想
近藤史恵さんの作品はどれを読んでもはずれがない。
ビストロパ・マルシリーズ
カフェ・ルーズシリーズ
- 『ねむりねずみ』…歌舞伎界で起こる殺人事件
- 『みかんとひよどり』…ジビエシェフと猟師のバディ
- 『あなたに贈るキス』…美しくて残酷な青春ミステリ
- 『スタバトマーテル』…最も強く、最も恐ろしいのは母の愛

