『お帰り キネマの神様』原田マハ

アート・ものづくり

お帰り キネマの神様』は、原田マハさんの小説『キネマの神様』の続編ではありません。

山田洋次監督によって映画化された内容を新たに小説化したものです。

著:原田 マハ
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大きな変更、見事な変更

何を言っているかわからねえと思うが、私も何言っているかわからねえ…。

そんなジョジョ第三部のポルナレフのようなセリフが出てしまうほどこの小説化はトリッキーです。

表すなら「原作→映画→新作」でしょうか。そもそも、このノベライズ企画は山田洋次監督が『キネマの神様』を映画化する際、原作をかなり改変してしまったからなんです。

山田洋次監督は『小さいおうち』の時もちょっと原作のイメージと違う映画だったから、原作ファンは嫌なんだよなあ…。

そしてまた、映画のノベライズを原作者にやらせるなんて、いくら巨匠とはいえさあ…。

と思ったら、面白いんですこれが!

過去パートはちょっと時代設定が古いかな?と思ったものの、映画全盛期のワクワク感と、家族の絆が描かれた感動のストーリーでした。

ギャンブル依存症でだらしのない父・ゴウも原作よりも魅力的なキャラでしたし、なにより描かれる映画の世界が楽しいんです。

原田マハさんが脚本を読んでこう言ったのもわかります。

「大きな変更です。けれど見事な変更です。」

特に後半のどんでん返し的な展開は、いかにも映画らしくてワクワクしました。

『お帰り キネマの神様』あらすじ

映画雑誌ライターの円山歩はギャンブル依存症の父、ゴウの借金に悩まされている。そんな、だらしのない父親だが、映画に関してだけは知識と情熱を持っていた。

ゴウのギャンブル依存症を改善するため、強硬策に出る歩だが、ゴウはへそを曲げて行きつけの名画座「テアトル銀幕」に逃げこんでしまった。

「テアトル銀幕」はゴウと妻の淑子の友人テラシンが運営する映画館で、ゴウはそこで、かつて自分が関わっていた映画の中に、自分の姿が映るのを見る。

時代を遡り昭和44年。この頃、ゴウは映画会社で助監督をしていた。淑子にテラシン、女優の園子とともに映画への夢を語り合った。

しかしある事件をきっかけにゴウは映画界を去ることになってしまい…。

原作 キネマの神様

もともとの原作『キネマの神様』はこちら。テアトル銀幕の存続問題に、ゴウと歩が活躍します。

著:原田 マハ
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