しゃばけシリーズももう9作目。『ゆんでめて』は前作『ころころろ』のように短編が合わさって、最後ひとつの謎解きになる仕掛けになっています。
あの時、左の道(ゆんで)をいくはずだったのに、右の道(めて)を行ってしまった。それは例によって人ならぬものが関わっていて…。
右の道(めて)
そうして間違った「めて」の道を進んだ若だんなは、屏風のぞきの死や新しい出会い、そして恋心を経験します。
「もし、あのとき別の道を行っていたら。」と誰しも思いますが、選んでしまった道にも、新たな出会いも別れもあるのです。若だんなは生目神の助力で選ぶはずだった道に戻れるのですが…
三浦しをんさんが著作『三四郎はそれから門を出た』で、しゃばけシリーズのもつ「切なさ」について語っていました。そして、今回の『ゆんでめて』はかなり切ないです。
忘れてしまっているのに、時折、誰かがいなくなってしまうんじゃないかと思う喪失感。
若だんなは結局たくさんのものを捨てざるを得なかったんでしょう。
満開の桜が散るように、いつか仁吉や佐助、他の妖怪たちとの楽しい時間もなくなってしまいそうな、寂しいような気持ちが読んだあとも残ります。
