『イクサガミ 地』では、愁二郎と義兄弟たちが再会。刺客である幻刀斎に立ち向かう。一方、蠱毒の主催者の正体が明らかになり…。
戦闘シーンは深呼吸してからでないと読めない。つい呼吸を忘れて読みふけってしまう。
京八流の因縁
ほんともう、京八流の話だけで一冊書いてほしいくらいの内容でしたよ。
八人で継承権を奪い合うはずだった、愁二郎たち京八流の兄弟たち。今回、愁二郎が継承戦を逃げたあと、兄弟たちがどうなったのかが語られます。
刺客・幻刀斎は容赦なく追い詰め、兄弟だけでなく、家族もなぶり殺しになったと聞かされる愁二郎。
とにかくこの老人が強い。能力がチート過ぎるし不気味過ぎる。
そのため、愁二郎たちは他の兄弟を探しながら幻刀斎を撃とうとしますが、双葉から「私も協力する。他の協力者も探そう。」と提案されます。
ここでも双葉がいい働きをします。双葉は確かに最弱だけれど、彼女の言動で局面が動くことが結構あるんですよね。
京八流の能力
京八流それぞれが九割九部まで同じ特殊能力を持ち、相手から奪う、もしくは継承することで能力が受け継がれます。
現在愁二郎が二つ、四蔵が三つの能力を持つけれど、それぞれに相性があり、全て継承してもめちゃくちゃ強くならないんじゃないか?という矛盾に気づきます。
それが今後の展開にどう関わってくるのか…。
双葉の可能性
『イクサガミ 天』を読んで、双葉の存在が蠱毒のシステムを覆す「鍵」になるのではと考えましたが、「地」では蠱毒参加者だけではなく、運営側の橡(つるばみ)の心まで動かします。
さらに殺戮前提の蠱毒において、「秩序」を司るトリックスターに成長しています。
なんだか十二国記の泰麒に似ていますね。最初は純粋無垢で戦いを好まないけれど、切迫した状況において、皆を身を挺して守ろうとするところとか。
彩八と双葉
彩八が双葉の戦いを嫌う姿勢に対して、こう一喝します。
「黙れ、お前に何ができる」
これ、わかるなあ。
世間知らずでピュア少女が、理想だけで「戦いはダメ!」とかほざいたら、私だってキレるもの。
ましてや彩八は生い立ちからして、普通の結婚や出産が望めない。だから余計ムカつくのかも。
でも双葉はそんな彩八との出会いで、徐々に行動が変わっていくんですけどね。
東海道デスゲームが一転…!
『イクサガミ』は東海道を舞台に、一人一点の札を奪い合うデスゲーム。
当然、戦いながらずっと東海道を旅していくのかと思いきや、物語の終盤、登場人物の一人がいきなり東京へ!桃鉄のヘリコプターかよ!ってほどの大移動。
それが蠱毒主催者の陰謀や歴史的事件とつながっていて…。それに、東京では意外な人物が絡んできて、それにもびっくり。
池波正太郎の小説を読み直さなきゃ。(わかる人にはわかるネタバレ)
絶妙な目次の言葉
今村翔吾先生『幸村を討て』を読んだ時、独特の目次デザインとその仕掛けに驚いたものですが、今回も、目次が絶妙なんです。
『イクサガミ 地』の目次には殺し合いを彷彿とさせる単語が並ぶのですが、その中に「郵便屋さん」という、なんとも優しい言葉があって。
「なんでだ?」と読みすすめていくと「そういうことか!」と。合点がいくだけじゃなく、それが次の伏線になっているんです。
「局戦」「浜松攻防」も蠱毒や幻刀斎の事かと思いきや、予想できない展開にびっくり。
散りばめられた謎
また、目次にもなっている「仏生寺弥助」なる人物の人生が描かれるのですが、どうやらこの人、蠱毒参加者ではなさそうだし、ネタバレになるけど途中で殺されてしまうんです。
果たして、仏生寺弥助の関係者がどのように蠱毒に絡んでくるのか。『イクサガミ 天』でも、参加者は本名を名乗っているとは限らないと言っていたし。
まだまだ続く、デスゲーム。どんな決着が待っているんでしょうか…。

