おっちゃんや、サラリーマンといったユニークな風貌の神々と、人間の織りなすドタバタ新喜劇が『パーマネント神喜劇』です。また、「パーマネント」には永遠という意味があるそうです。
とある小さな神社におわす縁結びの神と、そこの神社に願う人間たち、そして様々なタイプの神が集まる。
『鴨川ホルモー』『鹿男あをによし』など、人間と神様の不思議なかかわりを描いてきた万城目さんの神さま小説『パーマネント神喜劇』、今回も面白いです。
おそらくこの話、クリスチャンやムスリムなど『絶対唯一の神』を信じる人々には理解されないでしょう。
なんといってもこの神様、神なのにものすごく人間くさい。失敗だってする。でも、そんな神様が大好きなんですよね、私たち日本人は。
人間くさい神さまたち
まずこの表紙のインパクトたるや…。この大阪の街で飲んだくれていそうな太ったおっちゃんが実は縁結びの神。そして裏表紙の七三スーツのサラリーマン風の男性も神さまです。
確かに日本には八百万(やおよろず)も神さまいるのだから、中にはこんな神さまもいるかもしれません。
神さまたちも、現代人のニーズに合わせるため、いつまでも弥生時代衣装に「みずら髪」ではいられないのでしょう。
おっちゃん神は縁結びの神さまなんだけど、神さまヒエラルキーでいえば下っぱ。
そのため、上位神からのノルマ(縁結びの成功率とか)に苦しんだり、別の神社(芸能)でパートタイムをしたり、神様仲間に仕事の愚痴をこぼしたり。神さまなのに人間臭い。
けれどそんな人間臭い神さまが、私は大好きです。遠くの大きな存在よりも、近くのおっちゃんの方がお願いごともしやすいですし。
神と人の絆
最終章『パーマネント神喜劇』では、人と神さま同士との絆が描かれています。おっちゃん…じゃなかった、神さま、かっこいいよ。
ある地方に大規模な地震がおきて、その土地の神社も壊滅状態に。小学生の美琴はぺしゃんこになった神社に「地震をなくしてください」とお願いする。
すると、サラリーマン風の不思議な男の人を見かける。
実はその神社の主神はあのおっちゃん神さまで、地震でご神木の中に閉じ込められていた。
美琴とサラリーマン風の神さまの協力で、なんとかおっちゃん神の救出に成功したものの、上位神からこの地にさらなる災厄がもたらされると聞かされる。
おっちゃん神は、ひとり(ひとはしら)、この地を守る決心をします。
それは土地の人々が神社と神さまを信じて、拠り所としていたから。人々は、自分たちの家よりも神社の復旧を優先させ、「地震をなくして」と願います。
けれども、地震をとめられなかった神さまを恨んでなどいない。
そこには、ずっと長い時をかけて培ってきた、人と神との絆がありました。
神は人間が祀ることで存在し、人間たちが神を忘れてしまうと、その存在が消えてしまう。つまり、神が神たるには、人間の思いが必要なんですね。
こんな神さまが近くにいてくれるなら、毎日ちょっとがんばれる気がします。
『パーマネント神喜劇』に登場した神さま達も、ホルモーを観戦したりするのかな。