『鴨川ホルモー』 万城目学

鴨川 ファンタジー
鴨川

鹿男あをによし」を読んでからずっと読みたかった「鴨川ホルモー」。

いったいこの「ホルモー」とはなんなのだろう?いよいよこの疑問が解き明かされる時がきました。

鴨川ホルモー あらすじ

二浪した後、念願の京都大学に入学した安倍は、一目ぼれした早良京子(の鼻)の存在が決め手となり「京大青竜会」というサークルに入部する。安倍はここをレジャーサークルか何かだと思っていた。しかし、実態は京都に千年伝わる競技、“ホルモー”のサークルだった。

「ホルモー」とは対戦型競技の名前。私が一番近いと思ったのはピクミンでしょうか。


自分たちが戦闘を行うのではなく、実際に戦うのは「オニ」と呼ばれる小さな異界の生き物。目や鼻はなく、顔には茶きん絞りのような「絞り」がついている。

ホルモーは、「オニ」たちに命令を下し、10人×オニ100匹で対戦を行う。相手のオニが全滅するか、相手が降参するまで戦いは続き、力尽きたとき「ホルモォォォー!!」と叫ばなければならない。

最初は疑心暗鬼のカタマリだった一回生たちも、徐々にホルモーに慣れてくるのだが、早良京子が原因で安倍と芦屋、青龍会が二つに分裂することに。

分裂を提案した安倍と仲間たちには恐ろしいペナルティが課せられる。そのペナルティを消すにはこれから行われるホルモーに優勝しなければならない。安倍が率いる分裂した弱小「青龍会ブルース」は勝ち残れることができるのか…。

青春のバカとファンタジー

最初、安倍君の鼻フェチとグチグチした片思いにちょっとイラっとしました。

でも、読み進めていくうちにどんな奇怪な競技でも、力を合わせて真剣に戦う姿と、戦いの合間には友情や諍いや恋がいい具合にアクセントになっており、最後にはなんだか爽快感さえ感じる物語でした。

でも、若いってバカだねえ。

孔明のような軍師ぶりを発揮する楠木ふみちゃんがいい。外見は大木凡人ヘア&メガネのツンデレだけど、知略に優れてやさしい女子。表情がわかりにくいけれど、内に秘めたものがアツい女の子です。

個人的に思うのですが、早良京子のように完成された美人より、ときおり見せる潜在的なかわいい要素をもつ女子の方がいいと思うんですよね。

後半恋をしてどんどんかわいくなる「凡ちゃん」にも注目。

「鴨川ホルモー」も「鹿男あをによし」でも、人間の住む世界とは別の世界に住む生き物たちとの交流が描かれています。

科学万能の現代社会で、神々や異形のモノたちとの「絆」は切れているように思われるけれど、万城目作品を読むと実はまだわれわれと「かの世界」との縁は続いているのかもしれません。

映画版 鴨川ホルモー

映画版「鴨川ホルモー」も面白いです。ホルモーのシーンがアホ全開で最高でした。

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