小川糸さんの恋愛小説はファンタジーのよう

蝶々 恋愛
蝶々喃々

『蝶々喃々(ちょうちょうなんなん)』 小川 糸

「蝶々喃々」は「食堂かたつむり」の小川糸さんの作品。男女の大人の純愛不倫を描いた作品です。

ちなみに「蝶々喃々」とは、「男女がうちとけて小声で楽しそうに語りあうさま」という意味だそうです。

ポプラ社
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下町・谷中でアンティーク着物店を営む栞(しおり)。彼女の恋物語と下町の粋な人々との交流が四季を通じて描かれています。

谷中は根津や千駄木とともに「谷根千」と呼ばれ、下町情緒が味わえる身近な観光スポットです。

京都や鎌倉ほど敷居が高くなく、身近だけれど非日常的な谷中は物語の舞台としてはすごくいい。

お茶を習うために着物を買いにきた春一郎という男性と恋に落ちる栞さん。お蕎麦や鳥鍋。下町情緒あふれる空間でおいしいご飯を好きな人と一緒に味わう。季節のお祭り、お月見にお茶会。
いとしい人と一緒にいる時間はことのほか贅沢に感じられます。

ただ、春一郎さんに妻子がいたのが、この物語にのめり込めなかった要因でした…。

ファンタジーのような純愛不倫

奥さん側からしたら、栞さんのような女性はものすごくずるい存在にだと思うんです。

だって、着物を着ていて、料理が上手で、谷中や湯島で風流なデート。ずるいですよ。
実際に生活していたら、こんな風流には生きられないよ。

それに、栞さんの心情がよくわからなかったんですよ。栞さんは死ん元恋人の墓前に春一郎さんを連れて行って「好きな人ができました」と報告するんです。

それならなぜ、そのあと不倫関係に悩むのだろう。まあでも、人の心なんて不安定なものだからかな。

だから栞さんの下町生活はステキだと思うけれど、今回も共感はできなかったなあ。下町の風景や主人公を支える下町育ちの老人たちの描写はよかったのだけど。

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