乙女の本棚シリーズ『女生徒』太宰治,今井キラ

女生徒 小説感想

太宰の心には、乙女がいる。

女生徒』は、朝起きてから眠るまで、少女の一日を描いた太宰治の作品。空想やメランコリックな気持ちが表現されていて、読むと自分の中の乙女心がざわつくのです。

どんな人の心にもきっと、乙女心が宿っている。

著:太宰 治, イラスト:今井 キラ
¥1,940 (2026/01/10 02:46時点 | Amazon調べ)

『女生徒』あらすじ

少女が朝、目覚めてから身支度を整え学校へ向かう。道すがら労働者に下卑た言葉を浴びせられ「強くならねば」と思う。

通学途中で読む雑誌から自分の個性や独創性について悩み、亡くなった父親、お嫁に行った姉のことを思い出す。

夕方にはお客様に食事を作り、夜はお母さんとお話をしたあと洗濯をしながら、同じように真夜中に洗濯する少女たちに思いを馳せる。

そんな風にして少女の一日は過ぎていくのだった。

少女の揺れ動く心

この少女の思考はクルクルと変わります。みすぼらしい妊婦を見ては「子どものままでいたい」と思ったかと思えば母親に対しては、「もう大人なのだから自分を頼ってほしい」と思ったり。

そうそう、確かに少女の頃って、とりとめもない事を考えていたし、さっきとは全く違った気持ちになったりしたものです。

そしてロマンチックでセンチメンタル、時々、なにか変わった事をやってみたくなるのも少女らしいのかも。

田舎道を歩くとき「初めて郊外を訪れた女の子」の気持ちになって歩いてみたり。それってなんだか萩原朔太郎の『猫町』みたいでワクワクします。

彼女が作る見栄えのよい「ロココ料理」なるものも、この頃少女たちに人気のあった『少女の友』にありそうな料理です。

『女生徒』からジェンダーについて考える

私は今まで太宰のことを「死にたがるクソ男」って思ってました。たけど、美しい死を求めてすてきな「エス」の女性と死にたいと思う少女だと思えば納得がいく、かも。

太宰はこの他にも『葉桜と魔笛』、『待つ』でも少女の心の機微を描いていますしね。

彼が本当は乙女だとするなら、彼の生きた昭和前期はさぞ生きづらかったことでしょうね。「男は男らしく!」「女は女らしく!」が当たり前の世の中でしたから。

女性も辛かったけれど、男らしく振る舞わなきゃならなかった昭和前期は、男性も辛かったのかもしれません。

乙女の本棚シリーズ

タイトルとURLをコピーしました