『路(ルウ)』は台湾に日本の新幹線が走るまでの数年間を描いた物語。台湾新幹線の仕事で台湾に来た女性、台湾人の青年、台湾生まれの老人。
彼らを中心に日本と台湾、様々な人々の人生が交錯します。
『路(ルウ)』あらすじ
春香は大学時代に台湾を旅した際、たった半日、一緒に過ごした台湾人青年・劉人豪(エリック)のことが忘れられずにいた。
現在、春香には恋人の繁之がいたが、台湾での新幹線受注が決定した時、現地スタッフとして台湾へ行くことを決意する。
春香は台湾での仕事を通じて、台湾の人々やその暮らしに馴染んでいく。そして、同僚の協力で再びエリックと再会。実はエリックは今、日本で働いていた。
エリックが日本で知り合った老人、葉山勝一郎は台湾生まれ。台湾での高校時代、台湾人の幼なじみにひどい言葉を投げかけたことを、今も悔やんでいる。
モラトリアムな若者・ウェイズーは、幼なじみのメイチンが日本人に捨てられ、シングルマザーになったことを知り、彼女を守るために台湾高速鉄道の整備士になる。
やがて、それぞれの人生が高速鉄道という「路(ルウ)」によって少しずつ繋がっていく。
台湾と日本
一面に続くグアバ畑の一本道、台北の雑踏と美味しい飲食店、山間の温泉など、まるで現地を旅しているような感覚になります。
でてくる食べ物がみんな美味しそうだし、暑い中でも街路樹のガジュマルの涼し気な感じもいい。一方で台湾タイムでは日本のスケジュールが通用しなかったり苦労をする話も。
そして『路(ルウ)』では、台湾生まれの日本人「湾生」についても語られています。
戦前まで植民地だった台湾には多くの日本人がいて、彼らの一部は帰国してもなお、心を台湾に残していたそうです。作中でも勝一郎は台湾へ行くことを「戻る」と言っています。
「捨てるのではない、泣く泣く手放すのだ」これは映画『海角七号』のセリフですが、台湾と日本の関係を表す言葉だと思います。
ドラマとの違い
『路(ルウ)』は最初、NHKのドラマを先に見たのですが、正直ドラマにはモヤモヤする部分がありました。でも、原作で読むとしっくりきたんです。
ドラマでは少し「日本すごい!」が誇張されている気がしました。
- 春香が恋人の繁之をさんざん待たせて結局別れる
- ウェイズーと春香の出会いで威志が「日本すごいです!敬礼!」みたいに褒めちぎる
- 春香と人豪(レンハオ)が『君の名は。』のように最後まで会えない
春香は繁之は重度のうつ病にかかったため、エリックへの思いはあったけれど、彼を見捨てられずできる限り寄り添っていたんですね。
ウェイズーも「日本の新幹線すごい!」と感動はしていたけれど日本への思いはもう少し複雑。彼が思いを寄せるメイチンは日本人の子を妊娠して捨てられていますから。
『国宝』は、映画も素晴らしかったのですけど…。

