O・ヘンリーといえば、ニューヨークだ。『O・ヘンリー ニューヨーク小説集』

人間ドラマ

O・ヘンリー ニューヨーク小説集 』は、小説の中でニューヨークを舞台にしたものを厳選。それに当時の時代背景や風俗などの解説文が加えられたもの。

こんな本を待っていたのです。当時の社会情勢や風俗を知れば、より物語がたのしめますから。

著:オー・ヘンリー, 翻訳:青山 南, 翻訳:戸山翻訳農場
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O・ヘンリー作品の時代背景

作品が書かれたのは100年ほど前のアメリカ。都市部ではショップガールやタイピストなど、女性の社会進出がはじまり、女子の教育も盛んになってきた頃です。

ジーン・ウェブスターのあしながおじさんも20世紀初頭ですし。

ショップガールたちは玉の輿に乗るため、客の男たちを品定めしたり、タイピストは食べていくのもカツカツだったり。当時の女性のリアルな姿が描かれます。

このあたりは時代が変わっても、女性の本質をついていますね。

コニーアイランドという遊園地は当時から庶民向けの娯楽施設でした。そうした背景を知っていると、より作品に深く入り込めます。

翻訳の妙、解説の発見

今回、この本の翻訳を手掛けたのは戸山翻訳農場という翻訳ユニットです。O・ヘンリー作品の翻訳とその時代背景を解説してくれています。

物語ごとに訳者が異なるのが面白い本でした。

これまでO・ヘンリーの作品は、数種類の出版社のものを読んできました。でも、翻訳によってこんなにも違いや個性がでるものなのだなあ。と驚きました。

『魔女の差し入れ』は以前『善女のパン』という真逆のタイトルを読みました。

まあ、読んでみるとこのタイトルでも納得なのですが。

『ハーレムの悲劇』は、この本を読むまでずっとアフリカ系アメリカ人夫婦の話だと思っていました。

でも、解説を読むと違うんです。

O・ヘンリーがこの作品を書いた1900年代初頭は、ハーレムはまだ白人の居住区だったそう。

そしてその後、住宅の供給過多による価格低下でアフリカ系アメリカ人が住むようになったのだとか。

そんな時代背景、普通の翻訳ではなかなか読めませんよね。まあ、物語そのものは「夫が、妻のことを理解してくれない」という、現代でも通用する話なのですが。

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