『古本食堂』、といっても、食堂ではありません。神保町の古書店に集まる人々の悲喜こもごもと、美味しいごはんのお話です。
『古本食堂』あらすじ
珊瑚は急死した兄・滋郎の古書店を受け継ぐため、北海道から上京して店を再開することにした。
もう一人の兄の孫である美希喜(みきき)は国文学の大学院生で大叔母である珊瑚さんの様子を見に来ているうちにを店を手伝うことに。
そのうち、人生の悩みを抱えた客たちがやってくるようになり、二人はお客の悩みに寄り添いながら彼らに合った本を提案してゆく。
しかし、古書店を営む二人には誰にも言えない秘密を抱えていて…。
本と人とのつながり
珊瑚さんがブックコンシェルジュのように、お客の悩みに寄り添った本を提案してくれます。(時には美希喜ちゃんも)
二人は自分たちの食事をお客にシェアして一緒に食べたり、悩みを聞いたりします。カレーやピロシキ、お寿司など、出てくる神保町の料理がとにかく美味しそう。
こんな古本屋さんがあったら、通ってしまいますね。ごちそうになるだけじゃなくて、二人になにか美味しいものを差し入れたいですね。食べながら本の話ができたらすてき。
珊瑚さんは「兄のように本に詳しくない」と言いますが、お客の悩みに合わせた本を提案できるというのは、かなりの読書家です。
時に本は、人と人とを繋いでくれます。最後に珊瑚さんと美希喜ちゃんが抱えていた悩みが、いい方向に進んでいってよかった。
原田ひ香さんは『三人屋』のような「日常の毒」を描いた作品ばかりと思っていました。でも『古本食堂』は苦みの少ない読みやすいお話で一安心。
クセのある人もいるけれど、登場人物がみんな優しいです。
こちらは食堂ではなく屋台。漫画『古本屋台』ではお湯割りいっぱいで古本が楽しめます。
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